MCPとは?難解になりがちな話を改めて整理して解説
ChatGPTやGeminiなどのAIが進化し、単なる会話だけでなく『業務の自動化』や『ツール連携』まで期待される時代になりました。しかし、実際にAIを社内ツールやデータと連携させようとすると、APIの開発や複雑な設定の壁にぶつかったことはありませんか?
そんなAI開発の課題を解決する『新しい世界標準』として、今注目を集めているのがMCP(Model Context Protocol)です。
本記事は、
「MCPの記事をいくつか読んだけど、あんまりわからない…」
「マーケターだけど、AI活用を進めたいから勉強しておきたい」
「トレンドのキャッチアップのために、とりあえず概要を把握しておきたい」
こういった方に向けて、『AI界のUSB-C』とも呼ばれるこの画期的な仕組みをできるだけ分かりやすく解説していきます。MCPとは何か、導入するとどんな良いことがあるのか、そしてセキュリティ面のリスクまで、この記事でMCPの全体像を掴んでいきましょう!
MCPとは?
MCP(Model Context Protocol)とは、AIを外部ツールと連携させる際の「共通ルール」のことで、AIの利用者が「AIと複数の外部ツールを簡単に連携できるようにするため」に生まれたものです。
ここで言う「AI」と「外部ツール」は次のようなものを指します。
| AI | ChatGPT、Gemini、Claude for Desktop、VS code など |
| 外部ツール | AIにアクセスさせたい外部サービス(Slack、Gmail、Notion、ローカルファイル など) |
もう少し理解しやすくするために、具体例を考えてみましょう。
従来の連携はAIが外部ツールの「都合」に合わせていた
例えば、業務効率化のためにAIに次のような作業を任せたいとします。
| Salesforceの今月の商談データを、Googleスプレッドシートにまとめて、上長にSlackで共有する |
従来であれば、この3つのツールをAIが扱えるようにするには「Salesforce API」「Google Sheets API」「Slack API」という、外部ツールごとの「独自の言語」をAIが理解し、その言葉で外部ツールに指示を出せるように個別開発する必要がありました。
「AIさんの言葉はわからないから、僕らの言葉で指示出して〜」と、外部ツールの「都合」にAIが毎回寄り添ってあげている状態です。
このままでは、外部ツールが増えるたびに個別のAPI仕様に対応するための開発が必要となり、気軽にツールの連携ができなくなってしまいます。
しかし、AIと外部ツールの両方が「MCPという共通言語」を扱うようになったらどうでしょう。
外部ツールは、「このツールではこれができます」「こういう操作が可能です」「使い方はこうです」という情報をMCPという言語で、MCPサーバーという形式で公開します(※MCPサーバーについては後ほど説明します)。
AIはMCPという言語(ルール)を覚えれば、各外部ツールが公開している情報を簡単に理解することができ、外部ツールごとに個別の連携開発を行う必要がなくなります。
つまり先ほどの作業について言えば、①AIにMCPの言語(ルール)を覚えさせ、②下記3つのMCPサーバー(外部ツールの情報)をAIに登録すれば、先ほど挙げた一連の作業はAIで自動化できてしまいます。
- CData Salesforce MCP Server
- mcp-google-spreadsheet
- Slack MCP Server
その結果「AIに任せたい業務が増えたから、ツールをもう1つ追加する」といった拡張が、これまでより気軽にできるようになります。この拡張性の高さこそが、MCPの魅力なのです。
MCPはAI界のUSB-C
MCPはよく「AI界のUSB-C」と表現されます。理由はシンプルで、それまで端末ごとに異なっていた接続規格をUSB-Cが統一したように、MCPもまた「AIと外部ツールの接続方法を統一する」という役割を果たしているからです。
MCPは実際どのように活用できる?
MCPを活用するイメージを持ってもらうために、身近な例を1つ見てみましょう。
例えば、AIに次のような依頼をするとします。
| 来週の打ち合わせの日程を調整して、Slackに報告して |
AIと「Googleカレンダー」「Slack」を連携させている場合、AIは次のような操作を行います。
- 参加者それぞれの予定をGoogleカレンダーから取得
- 全員が空いている日時を整理
- 打ち合わせの候補日をまとめて、参加者へSlackで送信
- 確定した日程を、参加者のGoogleカレンダーに登録
実際に下記のような文章をSlackに送信してくれます。
| 来週の打ち合わせについて、全員の予定を確認しました。 以下の日時であれば、全員参加が可能です。 ・6月18日(火)10:00〜11:00 ・6月19日(水)13:00〜14:00 ・6月20日(木)15:00〜16:00 ご都合のよい日時をお知らせください。 問題なければ、確定次第カレンダー招待を送信します。 |
もちろん好みに合わせて、文章のトーンをカジュアル寄り、フォーマル寄り、というように調整することも可能です。
このようにMCPを活用すると、「確認」「調整」「共有」といった、複数ツールにまたがる業務をAIにまとめて任せられるようになります。日程調整のような日常業務から、より複雑な業務フローまで(後ほど紹介します)、AI活用の幅を大きく広げることができます。
なぜ注目される?MCPが重要な理由とは
Anthropic社が2024年11月にMCPを提唱してから、現在2026年1月に至るまで、MCPは常に大きな注目を集めています。ここでは、今MCPが必要とされる理由を次の3つの観点から整理していきます。
- AI活用の拡大:複雑な業務までAIで自動化する時代に
- 連携コストの増加:AIと外部ツールの連携範囲拡大により開発コストが増加
- エコシステムの構築:多くの企業がMCPに賛同し、共通ルール化が進んでいる
1. AI活用の拡大:複雑な業務までAIによる自動化を目指す時代に
近年、企業のAI活用は急速に拡大しており、実際の業務プロセスをAIが担う場面が増えてきました。Difyやn8nといったローコード開発ツールの活用も拡大してきています。
そんな中、今年特に注目を集めたのがAgentic AI(エージェント型AI)です。
Agentic AIとは、複数ツールを跨ぐような複雑な業務であっても、自律的に実行計画を立て、業務を遂行する能力のあるAIのことを指します。例えば、データの収集・整理から、レポート作成、社内での共有に至るまでの一連の作業を、自動で完了させることが可能になります。こうしたAI活用が拡大してくるにつれ、AIと外部ツールの連携をより簡単に、より安全に行うための仕組みが不可欠になってきています。その基盤として、AIと外部ツールをつなぐ共通ルールであるMCPが注目されているのです。
Agentic AIについては、こちらの記事で詳しく解説しています!
Agentic AI(エージェント型AI)とは?自社の業務自動化・課題解決にどう活かすか
2. 連携コストの増加:AIと外部ツールの連携範囲拡大により開発コストが増加
先ほど確認したように企業でのAI活用は拡大していますが、それに伴い連携の複雑性も急速に高まっています。
これがいわゆる「M×N問題」です。
例えば、ChatGPT・Claude・Gemini の3つのAIを、それぞれをSalesforce・Notion・Slack・Google Driveの4つのツールと連携させるためには、3×4=12回の個別実装が必要になります。
| 使いたいAIの数(M)× 連携させたい外部ツールの数(N) |
この数だけ個別対応が必要になるというのが、「M×N問題」です。
この問題は、AI活用が本格化すればするほど顕著になります。せっかく技術が発展しAIにできる仕事が増えたとしても、外部ツールとの連携が複雑なままでは、業務自動化の範囲は拡大していきません。
しかしMCPであれば、AIの実装3回、外部ツールの実装4回の計7回の実装だけで完了します。
このようにMCPは、「AI活用の拡大に伴う連携の複雑化」という課題を解消し、開発効率を大幅に向上させることで企業のAI活用を後押しする存在として期待されています。
3. エコシステムの構築:多くの企業がMCPに賛同し、共通ルール化が進んでいる
ここまで読んできて気づいた方も多いかもしれませんが、MCPが真価を発揮するためには、業界全体として「MCPという共通ルールを採用すること」が不可欠です。つまり、業界全体でMCP対応ツールが増え続けること(エコシステムの構築)が非常に重要になります。
こうした背景を受け、下記のような主要プレイヤー達がすでにMCPへの対応を進めています。
- Anthropic
- OpenAI
- Microsoft
- GitHub
さらに外部サービスでも、SalesforceやGoogle Workspace、Notion、Slackなど、主要な業務ツールも続々とMCPに対応し始めています。2024〜2025年にかけては、「新しいツールがMCPに対応した」というニュースを見る機会も増えました。
このように、MCPはAI活用を次のレベルに押し上げるための「共通基盤」としてエコシステムが急速に構築されている段階にあります。まさに今、MCPはAI時代の新しい標準として業界全体を巻き込みながら拡大しているのです。
MCPが企業にもたらすメリット
ここからは、MCPが普及することで、企業にもたらされるメリットを具体的に見ていきます。実はMCPが、多くの企業が共通して抱える課題に関係していることを確認できると思います。
主なメリットは次の5つです。
- 開発効率が向上
- AIへの拡張機能の付与が簡単に
- ツール横断的な業務の自動化
- 最新情報やローカルファイルへのアクセスが可能に
- セキュリティの強化
開発効率が向上
MCPを導入する最大のメリットは、外部サービスとの連携にかかる開発コストを大きく削減できることです。
従来はツールごとにAPIの仕様を学び、認証を設定し、実装を作り込む必要がありましたが、MCPに対応したツールであれば、共通の手順で接続できます。その結果、次のような効果を期待できます。
- 新しい外部サービスを追加する際の工数が激減する
- 連携開発の属人化を防げる
少し難しい内容になってしまいますが、「連携開発の属人化を防げる」に関しては、どのツールも同じ手順で接続できることが理由です。「これはOAuth2、これはAPIキー、これはRESTのみ、」のように特定メンバーだけがAPI仕様を理解している状態を避けられ、チーム全体で連携開発を進めやすくなります。
AIへの「追加機能」の付与が簡単に
MCPに対応したツールを追加するだけで、AIに新しい機能を後付けできるという点も企業にとって大きなメリットです。
これまで機能追加にはAPIの理解やコードの改修が必要でしたが、MCP環境を整えておけば、対応した外部ツールを追加するだけでAIが扱える範囲を比較的スムーズに広げられます。
例えば、
- Salesforce対応のMCPツールを追加すれば商談管理が可能に
- Notion対応のツールを追加すればナレッジ管理が強化される
- Google Drive対応のツールでドキュメントの検索・整理が可能に
といった具合に、必要な機能を柔軟にAIへ追加でき、対応領域をスピーディに広げられます。
ツール横断的な業務の自動化
拡張機能の付与が容易になることで、複数ツールを組み合わせた業務の自動化も可能になってきます。
通常、業務プロセスは1つのツールで完結することは少なく、データ取得→整理→レポート作成→共有など、複数サービスの連携が前提になりがちです。
そこでMCPを使えば、
- Salesforceからデータを取得
- Google Sheetsで整理し
- Slackへ共有
といった「ツール横断」の一連の流れを、1つのAIに1回の指示で実行できるようになります。これは特に、Agentic AIを導入して業務自動化を進めたい企業にとって、大きなメリットとなります。
ローカルファイルへのアクセスが可能に
MCPにより、外部ツールとの連携だけでなく、ローカル環境のデータやファイルへのアクセスも容易になります。例えば「Filesystem MCP Server」というMCP対応のサーバーを設定すれば、次のような操作を行うことも可能です。
- PCに保存されたファイルの編集・整理
- ローカルファイルの検索・収集
- 複数ファイルを読み取り、分析レポートを作成
これにより「ファイルを自力で探し、AIが扱えるようにするためにクラウドにアップロードする」という作業が不要になります。また必要な情報をAIが直接扱えるようになるため、業務のスピードと精度、両方の向上が見込めることも大きなメリットです。
セキュリティの強化
AIと外部ツールの連携において、セキュリティ面の懸念だけは避けて通れませんね。この問題に対して、MCPは次のような対策をとっています。
- AIがアクセスできる範囲を明確に制限できる
- 権限を細かく設定し、必要最小限の操作だけを実行することも可能
- 操作の実行前に、ユーザーによる承認ステップを設置
特にAgentic AIでは、ツールを自律的に操作するため、「AIが意図しないデータにアクセスしてしまうリスク」 が従来方式より高くなってしまいます。 MCPはこのリスクを最小限に抑える設計になっているため、企業が安心してAI活用を拡大するための土台も整えてくれています。
MCPの活用例(代表的なMCPサーバーの紹介)
ここからは、MCPの活用法を具体的に紹介していきます。イメージを明確に持ってもらうために、「現在公開されている代表的なMCPサーバー」と「それによってAIが可能になる操作」をセットで見ていきます。
ここで、「何回か出てきたけど、MCPサーバーってそもそも何?」と感じている方も多いと思うので、改めて説明しておきます。「MCP」と「MCPサーバー」は実は異なるものなので、しっかりと整理しておきましょう。
MCPサーバーとは?
MCPサーバーとは、簡単に言うと「AIと外部ツールのあいだに入り、両者が同じ言語(MCP)で会話できるようにする翻訳者」のような存在です。
「MCPはルール(言語)のこと」
「MCPサーバーはルールを翻訳してAIと外部ツールを会話させる翻訳者」
MCPとの違いはこのように理解しておくと良いでしょう。AIがMCPサーバーに依頼を送り、それを外部ツールに伝えることで、AIが外部ツールの機能を扱えるようにする役割を果たします。
| 要素 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| AI | ・MCPサーバーに、外部ツールを使いたい、という依頼を送る ・MCPサーバーから来た応答を利用して、ユーザーに回答を渡す | ・ChatGPT ・Gemini ・Claude |
| MCPサーバー | ・AIからの依頼を翻訳して外部ツールに伝える ・外部ツールから来た結果を、MCPに翻訳してAIに伝える | ・CData Salesforce MCP Server ・mcp-google-spreadsheet ・Slack MCP Server ・Filesystem MCP Server |
| 外部ツール | ・MCPサーバーから来た依頼を実行し、結果を返す | ・Slack ・Gmail ・ Notion ・ローカルファイル |
このような役割を果たすMCPサーバーが、各外部サービスの提供者や開発者コミュニティにより一般公開されています。そのため私たちAIの利用者側は、公開されているMCPサーバーをAIに接続するだけで、そのツールをAIから操作できるようになる、という仕組みです。
それではここから、実際に現在公開されている代表的なMCPサーバー5つと、それぞれがどのような機能をAIに追加できるのかを紹介していきます。
- Slack MCP
- Notion MCP
- GitHub MCP
- Gmail MCP Server
- Filesystem MCP Server
Slack MCP
Slack MCPは、SlackワークスペースにAIがアクセスし、AIから操作できるようにするMCPサーバーです。私たち利用者は、「昔〇〇さんから送られたあれを探して」のような自然言語でAIに指示を出すだけで、Slackを操作することができます。
代表的な操作例
- チャット内容の取得・検索
- 任意のチャンネルやスレッドへのメッセージ投稿
- チャンネルの管理・作成
- ユーザー一覧やユーザー情報(表示名・メールなど)の取得
「過去チャットの検索」は特に使いやすく便利だと思います。元々メッセージの検索機能があると言えど、「あのやり取りでもらったリンク、どこだっけ…」のように過去のメッセージを見つけられなかった経験がある方も多いと思います。
AI経由での検索であれば、曖昧なニュアンスや何となくの時期をヒントにAIが検索してくれます。いわばAIがWeb検索でやることをSlack内でやるイメージなので、過去のメッセージも見つけてくれそうですよね。
Notion MCP
Notion MCPでは、AIから直接、Notion上のページやデータベースの検索・作成・更新といった操作を行うことが可能です。
代表的な操作例
- 既存のページやデータベースの検索、内容の読み取り
- 打ち合わせメモや仕様書などの新規ページの作成
- タスク管理表のプロパティ(ステータス・担当者・期限など)の更新
- ページへのテキスト、箇条書き、見出しの追加・編集・削除
- ワークスペース内ユーザーの情報を取得する
メインの機能はやはり、プロパティの更新でしょうか。例えば、優先度「高」のタスクを洗い出してもらい、それらをまとめた新規のタスク管理データベースを作成してもらう。締切まで3日以内になったタスクの優先度を「高」に修正し、他のデータベースにコピペする。このような作業までAIへの自然言語での指示のみで完了してしまいます。
その他にも、Notionは機能が多い分、完全に使いこなせてるという人も少ないと思います。そういった時に、「Notionで〇〇をしたいんだけど、どうやったらいい?」のようにNotionの機能自体について尋ねることで、今まで使えていなかった機能を使いこなせるようになるかも知れません。
GitHub MCP
GitHub(ギットハブ)は、ソースコードやその更新履歴をオンライン上で管理・共有するためのサービスで、主にエンジニアや開発チームの間で広く利用されています。そのため、前提知識がないと少し難しい内容になってしまいますが紹介しておきます。
GitHub MCPを利用すると、GitHub上の情報や操作をAIから扱えるようになります。リポジトリ(プロジェクト)やIssue、Pull Requestといった要素に対して、AIが情報取得や整理を行えるため、開発やプロジェクト管理の効率を大きく高められます。
代表的な操作例
- リポジトリ(プロジェクト)一覧や、特定リポジトリの情報の取得
- Issue一覧や詳細の取得、内容の要約・分類
- IssueやPull Requestに付けられたコメントの読み取り、議論の整理
- Pull Requestの差分情報の取得、変更内容の概要把握
- 最近の更新状況をもとにした、進捗レポートの作成
GitHubは情報量が多く、慣れていない人にとっては「今どこまで進んでいるのか」が分かりにくいツールでもあります。GitHub MCPを使えば、「今対応が必要なIssueはどれ?」「最近どんな変更が入った?」といった質問をAIに投げるだけで、状況を整理してもらえるようになります。
エンジニアだけでなく、非エンジニアのメンバーが開発状況を把握する用途にも使えるかもしれません。
Gmail MCP Server
ここまで紹介したのは、各企業が公式に公開しているサーバーでしたが、ここからは、一般の開発者コミュニティによって公開されているサーバーも紹介していきます。
Gmail MCP Serverでは、Gmailの送受信や検索といった操作をAIから行えるようになります。
代表的な操作例
- 条件(送信元・件名・期間など)を指定したメールの検索
- 指定したスレッドやメール本文を取得・内容の要約
- 宛先・件名・本文・CC/BCC・添付ファイルを指定したメール送信
- 下書きメールの作成
- ラベルの作成・更新・削除
メールの確認作業は時間のかかるものですが、AIに内容をざっと読み込ませ、簡単に返信の優先度を立ててもらう、などができるようになります。加えて、おおよその下書きを作成してもらい、簡単な修正だけしてすぐに返信することも可能です。
また、メールの自動管理とラベル管理の機能を活用すれば、メールの重要度に応じて「要対応」「確認待ち」「対応済み」といったラベルを付与して管理運営することもできます。
Filesystem MCP Server
Filesystem MCP Serverは、AIがローカル環境のファイルやディレクトリに直接アクセスできるようにするMCPサーバーです。クラウドサービスを介さず、手元のPCや社内サーバー上にあるファイルを直接AIに扱わせたい場合に非常に便利です。
代表的な操作例
- ローカルファイルの編集・整理
- ローカルファイル・データの検索・収集
- 複数ファイルを読み取り、分析レポートを作成
先述の「MCPが企業にもたらすメリット:ローカルファイルへのアクセスが可能に」でも述べましたが、Filesystem MCP Serverによって「ファイルを自力で探し、クラウドにアップロードする」という作業が不要になります。
PCに保存してある大量のファイルを学習させてからAIに分析レポートや要約を作成してもらう場合、最初に大量のファイルをアップロードする必要がありましたが、その時間が不要になります。多くの情報をよりストレスなくAIに与えられるようになり、社内資料の分析や過去データの整理といった作業を、よりスムーズに進められるようになります。
MCPのリスクと注意点
ここまで述べてきたように、MCPはAIと外部ツールを連携させるための共通ルールとして注目されていますが、現実的な運用においていくつかのリスクや課題も存在します。ここでは、導入の前に知っておくべき主な2つのリスクを確認しておきましょう。
広範なアクセス権を持つMCPサーバーは攻撃対象になりやすい
先述の通り、MCPサーバーはAIの代わりに外部ツールやデータへアクセスする役割を担います。Slack、Gmail、GitHub、ローカルファイルなど、業務上重要な情報に触れられる立場にあるため、MCPサーバーは攻撃対象になりやすいという特徴があります。
例えば、Filesystem MCP ServerやGmail MCP Serverのように、ファイルやメール、認証情報にアクセスできるサーバーが不正に利用された場合、本来AIに許可していない情報まで取得・操作されてしまう可能性もあります。
これは「AIが危険」というよりも、AIのアクセス可能範囲が増えることによって生じてしまうリスクと言えます。
悪意のあるプログラムを持つMCPサーバーも存在する
もう一つの大きなリスクは、一般公開されているMCPサーバーの中に、信頼性に欠けるものが混ざっているという点です。MCPは誰でも利用可能な共通ルールであるため、公式・非公式を問わず、さまざまなMCPサーバーが公開されています。
その中には
- セキュリティ対策が不十分で、不正アクセスされる可能性があるもの
- 本来は不要なはずのファイルやメールへのアクセス権を求めてくるもの
- 悪意のあるプログラムを隠し、裏で情報を外部に送信するような挙動を含むもの
などが含まれている可能性も否定できません。
もしそのようなMCPサーバーとAIを接続してしまうと、予期しない操作が行われたり、情報が漏洩したりするリスクがあります。これはAIがMCPサーバーの言葉を信じて行動する設計である以上、避けては通れない課題です。
リスクを理解した上で使うことが重要
これらのリスクは、「MCPが危険だから使えない」という話ではなく、「MCPが強力であるがゆえに、接続する範囲・権限・サーバーの信頼性を慎重に管理する必要がある」ということです。
- どのMCPサーバーを接続するのか
- AIにどこまでの操作権限を与えるか
- 社内データや認証情報へのアクセスをどう制限するのか
こうした点を整理し、リスクを正しく理解しながら管理することが非常に重要です。そしてMCPは、AIと外部ツールの接続を、簡単かつ「安全に」行うためのツールでもあります。社内でリスクを共有し、接続するツールや権限を適切にコントロールすることで、安全なAI活用を進めていきましょう。
MCPの今後の展望:デファクトスタンダードとなれるか
MCPが今後どこまで普及するかを考える上で、最も重要な視点の一つが「標準規格(デファクトスタンダード)になれるかどうか」です。AIと外部ツールを繋ぐ仕組みは今後ますます重要になりますが、その中でMCPがどこまで広がるのかは、多くの人が気にしているポイントだと思います。
現時点でも、MCPは特定の記号に閉じた仕組みではなく、誰でも使える共通ルールとして設計され、実際に多くの企業やサービスが「とりあえずMCPに対応しておく」という流れが少しずつ見え始めています。
一方で、MCPがこのまま標準として定着していくためには、先ほど述べたようなセキュリティ面でのリスクを解決することが求められます。誰でも実装できる共通ルールであるが故に、安心して使える環境をどう担保していくかは、今後さらに問われていくでしょう。
また、実務の業務で使われるようになるほど、「どのMCPサーバーを信頼するか」「どの操作をAIに任せるか」といった運用面の判断も必要になります。技術として広がるだけでなく、企業や利用者側の使い方が成熟していくことも必要になるでしょう。
こうした課題を一つずつ解消しながら、実運用の知見が積み重なっていけば、MCPは単なる新しい仕組みではなく、AIと外部ツールをつなぐ「当たり前の前提」として定着していく可能性は十分にあるでしょう。
まとめ
本記事では、MCP(Model Context Protocol)について、その基本的な考え方から、注目される背景、企業にもたらすメリット、代表的な活用例、そしてリスクや今後の展望までを整理してきました。
記事の要点をまとめると次の通りです。
- MCPは、AIと外部ツールをつなぐための共通ルール
- APIごとの個別対応を不要にし、ツール連携をシンプルにする
- 「AI界のUSB-C」と呼ばれるように、接続方法を統一する役割を持つ
- Agentic AIの普及により、MCPの重要性はさらに高まっている
- M×N問題を解消し、開発・運用コストを大幅に削減できる
- セキュリティや権限管理には注意が必要だが、適切に管理すれば強力な基盤になる
- 将来的に、AIとツール連携のデファクトスタンダードになる可能性も十分にある
まだ発展途上の技術ではありますが、対応ツールや事例は確実に増えています。AI活用を本格的に進めたい企業や担当者にとって、MCPは今のうちから知っておくべき重要なキーワードの1つと言えるでしょう。
まずは仕組みを理解し、小さな業務から試してみる。そこから、自社に合った形でAI活用を広げていくための基盤として、MCPをどう活かせるかを考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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