【初心者】AWSは何がすごい?レンタルサーバーや注意点も解説
「AWSって、他のサーバーと比べて何がすごいんですか?」
あるクライアント様からこんなご質問をいただきました。
たしかに「AWSはいい」「AWSがおすすめ」とよく言われますが、具体的に何がそんなにいいのかはわかりにくいかもしれません。
「あのAmazonが提供するサービスだから、間違いないんだろう」というイメージで使っていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。
本記事では、Amazon Web Services(AWS)の何がそんなにいいのかをわかりやすく解説します。
もう使っている方も、これから使おうかなと思っている方も「だからAWSがいいのか!」と納得して使っていただければ幸いです。
ではいってみましょう。
AWSとは?
AWSとはAmazon Web Servicesの略称で、世界最大のECサイトを運営するAmazonが提供しているクラウドサービスのことです。
クラウド上で仮想サーバーが構築できるコンピューティングのほか、ストレージ、データベース、機械学習などのサービスも提供しています。
世界のクラウド・インフラ・サービス市場は、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどがしのぎを削っている状況です。この中でAWSは、2022年第4四半期において32%のシェアを獲得しており、市場をリードする存在となっています。
参考
https://www.canalys.com/newsroom/global-cloud-services-Q4-2022
AWSは結局何がすごいのか?
世界的に支持されているAWSは、何がそんなにすごいのでしょうか。
以下の点でその力を発揮しています。
ITリソースが柔軟ですぐに変更できる
AWSを利用すると、企業はITリソースを瞬時に拡張または縮小することが可能です。
必要なときに数分間でサーバーの台数を増減させたり、稼働中のサーバーの CPU やメモリ、ストレージのサイズを変更したりすることもできます。
例えば、稼働の少ない夜間や週末にサーバーを停止して利用料を削減する、あるいはテレビなどの影響でアクセスが急増しサーバーへの負荷がかかりそうな時に、リソースを一時的に増強させるといったことが可能です。
これにより、綿密な需要予測や成長を見越した初期投資がいらなくなりました。
とりあえず動きそうなスペックで立ち上げて、足りなかったり過剰だったりした分はあとで調整するという使い方ができます。
費用は使った分だけ支払えばOK
ITリソースを無駄なく使えるのと同様に、費用は使った分だけの支払いになります。
AWSは従量課金制を採用しており、企業が支払うのは使用したリソースに対してのみです。
これにより企業は未使用のリソースに対する支払いがなくなり、コストを大幅に削減できる可能性があります。
コスト削減の点では、初期費用が0円であること、利用者が増えるに従って提供価格が継続的に値下げされていることも有利な材料です。
AWSによると、サービス開始から2023年3月までに129回以上の値下げが行われています。
大規模災害に強い
AWSは、「リージョン」と呼ばれるサービス拠点を世界中に持っています。
リージョンは複数の「アベイラビリティゾーン(AZ)」で構成されており、AZの中には複数のデータセンターが存在するという構造です。
参考
例えば、東京リージョンで災害が発生したとしても、データセンターが分散しているため、別のAZやデータセンターでサービスの提供を継続することができます。
リージョンがグローバルに展開していることは、システムの海外展開にも有利です。現地データセンターとの契約は不要で、数分で作業が完了します。
AWSの高度なセキュリティが手に入る
AWSには、「責任共有モデル」という考え方があります。
これはセキュリティに関する責任の所在を、ユーザー側とAWS側で分担するというものです。
例えば、IDやアクセスの管理など、クラウド内のセキュリティに関する責任はユーザー側が担います。これに対して、AWS側はクラウド環境自体の管理責任を負います。
この分担により、ユーザー側はサーバー運用上の負担を軽減し、AWSにセキュリティ管理の複雑で高度な部分を任せることができます。
AWSが行っているセキュリティ機能の実装や、厳格なコンプライアンス要件への対応と、同レベルのことを自社で行うのは困難です。AWSを使えば、同サービスが実施する高度なセキュリティも提供してもらえます。
サーバー管理の人的リソースを省ける
自社でサーバーを管理する場合、これを行う人的リソースを確保しなければなりません。
定期的にシステムのバックアップを行う、OSにセキュリティパッチを適用するといった作業が発生するほか、障害時の対応も必要です。
1年を通して、サーバーの障害が起こらないことはまずありえません。これらに対応できる知識とスキルをもった人材が、果たして社内にいるでしょうか?
AWSを使えば、専門の人材を新たに採用する必要はありません。自動設定や、AWSコンソールからの操作で対応できるため、運用・管理コストが削減できます。
AWSとレンタルサーバーとの違い
AWSのすごさがわかったとしても、レンタルサーバーとどちらを使うべきか迷うかもしれません。
そこでAWSとレンタルサーバーを比較します。
(前提として、AWSは「クラウドサーバー」、レンタルサーバーは「共用サーバー」ということにします)
AWS(クラウドサーバー) | レンタルサーバー(共用サーバー) | |
---|---|---|
費用 | 初期費用0円 月額料金は従量課金 |
初期費用0円 月額料金は固定(数千円程度〜) |
他のユーザーの影響 | なし | あり |
カスタマイズ・スペック変更 | 簡単に変更可能 柔軟性は高い |
カスタマイズはできない スペックは契約プランによる |
難易度 | 高い 専門知識が必要 |
低い 管理・運用は提供会社にお任せ |
どちらも1台のサーバーを複数人で共有しますが、クラウドサーバーはユーザーごとに領域が区切られており、他のユーザーの影響を受けません。
これに対して、共用サーバーはユーザーごとに領域が分かれておらず、他のユーザーからの影響を受けます。
初期費用はどちらも0円です。
以前はレンタルサーバーに初期費用がかかりましたが、最近は0円のものが増えました。
月額費用は、固定のレンタルサーバーに比べて、従量課金制のAWSの方が高くなる場合があります。
カスタマイズやスペック変更はAWSが有利ですが、AWSに関して一定の知識が必要です。
扱いが難しそうであれば、簡単なレンタルサーバーを使うのがおすすめです。サーバーの運用、管理は提供会社にほぼ任せられます。
AWSとオンプレミスとの違い
AWSとオンプレミスも比べてみます。
オンプレミスとは、自社内に専用の物理サーバーを設置する運用形態です。
必要となる機器類(サーバー、ネットワーク機器)やソフトウェアなどの準備から、保守・運用まですべて自社で行います。
AWS(クラウドサーバー) | オンプレミス | |
---|---|---|
初期費用 | 初期費用0円 | 高価 (ハードウェアなどを購入する場合) |
月額費用 | 従量課金 | 自社運用なら人件費のみ 外注すれば固定費発生 |
利用までの時間 | 早ければ数分 | 行程が複雑で長い 数ヶ月かかることも |
設計・運用の自由度 | 高い AWSの範囲でカスタマイズ |
非常に高い すべて自由にできる |
セキュリティ管理 | AWSと自社で分担 | すべて自社の責任 要件どおりに管理できる |
難易度 | 高い AWSに関する知識が必要 |
非常に高い サーバーに関する幅広い知識が必要 |
オンプレミスは、サーバー自体を社内に設置して運用するため自由度が高く、完全に自社の求める要件に合わせた運用が可能です。
高度なセキュリティ要件、あるいは特殊なハードウェアやソフトウェアのニーズなどを満たさなければならないケースでは選択肢に入るでしょう。
ただし、自由度が高い分、非常に高いレベルのスキルと知識が求められます。
AWSを利用するときの注意点
AWSを使ったらそれだけで安心ではありません。
ユーザー側でも対応すべきことがありますので、3つご紹介します。
AWSに個別サポートはない
AWSは基本的にサービス提供のみを行い、個別サポートなどはありません。チャットで問い合わせ、返答にしたがって自社でトラブルを解決します。
したがって、このような対応ができる専任の担当者を置くほうが安心です。
またAWSは、新たなサービスが年々リリースされます。常に知識をアップデートしていかなければならないという点でも、専門的に取り組める担当者を作るのがおすすめです。
毎月のコスト管理が必要
従量課金制により必要な分だけ使えるのがAWSのメリットですが、利用状況によって料金は変動します。管理しないと、いつの間にか高額になっていることもあり得るので注意が必要です。
コストの管理方法としては、例えば以下の方法があります。
- 予算を設定し、超過したらアラートを受け取れるように設定する
- 不要なリソースを削除する
予算の設定は「AWS Budgets」、リソースの最適化は「AWS Compute Optimizer」という機能で行えます。
セキュリティ責任を負う
AWSのセキュリティは「責任共有モデル」により、AWSと顧客がセキュリティ責任を分担します。
したがって、すべてをAWSに任せっきりにはできません。
自社では、例えば以下のことに対応します。
- アクセスコントロール:アクセスできる人を管理する設定
- ID・パスワードの管理:強固な認証方式により、管理者サイトへの不正アクセスを防止
- セキュリティパッチの適用:ベンダーから提供されるセキュリティパッチを確実に適用
AWSサービス側にはセキュリティ上の問題がなかったとしても、自社側でアクセス権限の設定などが適切に行われていなければ、セキュリティリスクは高まります。
セキュリティの管理は、自社できちんと行いましょう。
まとめ
以上、Amazon Web Services(AWS)について解説しました。
AWSにはレンタルサーバーやオンプレミスにはないメリットがありますが、使いこなすにはAWSに関する知識が必要です。自社での対応は決して不可能ではありません。もし難しいと判断された場合は、COOSYにお問い合わせください。
安全・安心で、無理なく運用できるサーバー環境を手に入れるにはどうすればいいかを考えて、最適な選択をしましょう。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
お問い合わせはこちらから
Web制作デザイン、丸ごとお任せ
お問い合わせする
テキスト:加藤久佳 デザイン:津畑クミ