ロゴデザインの考え方と制作時に絶対押さえたいポイント5選
「あの有名企業みたいにかっこいいロゴをうちでも作りたいなぁ」
ちょっと待ってください!
ロゴはかっこいいだけでは意味がありません。もしあなたが自社のブランド戦略を推し進めるツールとしてロゴを作りたいと思っているなら、ロゴデザインの考え方についてさらっと理解しておきませんか?
この記事ではロゴデザイン制作の基本的な考え方を制作フローとともに解説します。技術的なことには一切触れませんが、「考えるべきポイント」については全部押さえられる内容になっています。
ロゴデザイン制作に関心を持っている方は、基本の知識としてぜひ最後までお読みください。
ではいってみましょう。
ロゴデザインの重要性
ロゴデザインとは、企業や商品、サービスなどのブランドイメージを視覚的に表現するものです。ブランドの認知度や印象、信頼性などに大きな影響を与えます。
ターゲットとなる顧客に対して、ブランドの特徴や価値を伝える役割を果たすだけでなく、競合他社との差別化や優位性を示すこともできます。ロゴデザインは、ブランド戦略における重要な要素の一つです。
ロゴデザインの種類
ロゴデザインには大きく分けて3つの種類があり、それぞれに特徴があります。
ロゴタイプ
ロゴタイプは、文字だけで構成されるロゴデザインです。企業名やブランド名を特徴的なフォントやスタイルで表現することで、視覚的なアイデンティティを打ち出します。
ロゴタイプで有名なものとしては、Google、Amazonなどです。文字だけで構成されるだけにシンプルで直感的なデザインが求められ、文字の選択や配置によってブランドの特徴を表現します。
シンボルマーク
シンボルマークは、図形やアイコンなどのシンボルを使って構成されるロゴデザインです。文字を使わずに、視覚的なイメージだけでブランドを表現します。シンボルマークは直感的で視覚的にインパクトがあり、異なる言語や文化圏でも理解されやすい特徴があります。例えば、Instagramの「カメラマーク」やTwitterの「鳥マーク」などは、有名なシンボルマークです。
ロゴマーク
ロゴマークは、ロゴタイプとシンボルマークを組み合わせたロゴデザインです。ロゴマークは、ブランド名とイメージを同時に伝えられるメリットがあります。一方で、文字とシンボルの両方を含むためバランスや配置に注意しなければなりません。有名なものとしては、YouTube、Microsoftなどがあります。
ロゴデザインの考え方
ロゴデザインを考えるときのポイントは、「ターゲットオーディエンス」と「ブランドアイデンテティ」を把握することです。誰にどんなイメージをもってほしいのか。ロゴデザインは、これを明確にするところから始まります。
ターゲットオーディエンスを理解する
ロゴデザインを作る際には、ターゲットとなるユーザー層の属性や好み、ニーズを分析し、デザインに反映させましょう。
例えば、若年層をターゲットにする場合は、モダンでカラフルなデザインが適しているかもしれません。一方、高級感や信頼性を求められる場合は、シンプルで洗練されたデザインを考える必要があります。ターゲットオーディエンスのニーズや好みに合わせたデザインを作ることで、ブランドとの共感を生み出すことができます。
ブランドアイデンティティを明確にする
ロゴデザインは、ブランドのアイデンティティを表現します。ブランドが持つ独自性や特徴を正確に捉え、ロゴデザインに反映させましょう。
ブランドの理念やコアバリュー、ブランドストーリーなどを把握し、それを視覚的に表現するデザイン要素を選定します。例えば、エコ志向を持つブランドならば、自然をイメージした要素や緑色を活用したデザインが適しているかもしれません。ブランドアイデンティティを明確にすることで、ブランドのメッセージやバリューをデザインにして的確に伝えることができます。
ロゴデザインの制作フロー
ロゴデザインの制作は、テーマ決定からガイドライン作成まで以下のプロセスで行われます。
- テーマ決定
- リサーチ
- アイデア出し
- 制作
- ガイドライン作成
中でも大切なのは、ブランドの目標や要件を正確に把握することです。これを踏まえ、各ステップを見ていきましょう。
1.テーマ決定
テーマは、ブランドの特徴や理念、目標を考慮して選ばれます。クライアントとのコミュニケーションやブランドのブリーフを通じて、デザインに反映させるべき価値やイメージを明確に言語化します。テーマの選択は、後続のステップに大きな影響を与えるため、慎重に検討するべきところです。
2.リサーチ
テーマが決まったらリサーチです。競合他社のロゴデザインや業界のトレンド、ターゲットオーディエンスの好みなどについて調査しましょう。他の成功したロゴデザインからインスピレーションを得ることも有効ですが、オリジナリティを保つためにも独自のアプローチやアイデアを取り入れることが重要です。
3.アイデア出し
リサーチを基にして、アイデア出しのフェーズに入ります。このステップでは、複数のアイデアをスケッチやデザインツールを使って具体化していきます。異なるデザインアプローチやスタイルを試し、ブランドの特徴やテーマを反映させるために試行錯誤する段階です。クライアントとの意見交換やフィードバックを通じて、最終的なデザインの方向性を絞り込んでいきます。
4.制作
アイデアが固まったら制作です。Illustratorなどのソフトウェアを使ってデザインを形にします。色彩やフォントの選択、図形やアイコンの配置など細部にわたってデザインを調整します。バランスや視認性、スケーラビリティにも注意しながら、クオリティの高いロゴデザインを作り上げましょう。
5.ガイドライン作成
最後のステップでは、ガイドラインを作成します。ガイドラインは、ロゴの使い方やデザインのルール、カラーパレット、フォントの指定など、ロゴデザインの統一性を保つための指針をまとめたものです。
ガイドラインは、将来的な利用シーンの拡大や他のデザイン要素との統一性を確保するために重要です。また、パートナーやサードパーティーとのコラボレーション時にも役立ちます。正しいロゴのサイズや配置、背景色との相性、使用禁止の場合など、具体的なガイドラインを示すことで、社内や外部の関係者がロゴを正しく使用し、ブランドイメージを一貫して伝えるための有効なツールとなります。
ロゴデザイン制作で重要な5つのポイント
基本的な制作フローを押さえたところで、ロゴデザイン制作におけるポイントを解説します。
ポイント1.与えたい印象に合わせた色彩設定
色は感情を動かしたり印象を伝えたりする力を持ち、ブランドのイメージ形成に大きく寄与します。色が与えるイメージの例は以下のとおりです。
黄……楽観的、快活、明快
橙……親しみ、陽気、信頼
赤……情熱、興奮、挑戦
紫……知性、創造的、想像的
青……信頼、頼もしい、誠実
緑……平和、自然、健康
灰(シルバー)……バランス、自然な、落ちつき
業界別の傾向としては、赤は食欲を刺激する色でもあり、レストランや食品のロゴによく使われています。青は信頼や誠実さの色でもあり、士業や教育の分野で好まれています。
このように、色は私たちの感覚や思考に様々な影響を与えるのです。ブランドのコンセプトやターゲットオーディエンスを考慮した上で、ロゴに適した色の組み合わせを検討しましょう。
ポイント2.識別しやすい造形
ロゴデザインの造形で求められるのは、シンプルで視覚的に識別しやすいこと。そして、拡大・縮小してもクリアに表示されることです。
ロゴは使用場面が多岐にわたります。ポスターに載せるのと名刺に載せるのとではサイズがかなり変わるので、見え方にも影響があるかもしれません。小さくして見えにくくなるようであれば、適宜調整が必要です。
どんな状況でも瞬時に識別できて同じ印象が与えられるように、適切なバランスや比率、形状の整合性を考慮し、ブランドの個性を引き立たせるデザインを追求しましょう。
ポイント3.ブランドのスタイルを表現するタイポグラフィ
ロゴデザインにおけるタイポグラフィとは、「文字をデザインとして用いること」あるいは「文字自体をデザインとして取り入れること」です。
適切なフォントの選択や配置、文字間の調整などにより、ブランドの雰囲気やスタイルを表現することができます。イメージにこだわるあまり、視認性や可読性が損なわれることもあるので注意が必要です。
ポイント4.汎用性が高いシンプルなデザイン
ロゴデザインは一瞬で見た人に印象を残すものなので、シンプルさが求められます。不要な要素は極力そぎ落としましょう。
シンプルなロゴはさまざまな媒体やサイズで使いやすいだけでなく、視覚的に鮮明で記憶に残りやすいです。簡潔で洗練されたデザインは、ブランドの認知度を高める効果があります。長期的にブランドの一貫性を保つ上で、シンプルであることは不可欠です。
ポイント5.ブランドの理念を反映したデザイン
理念やメッセージをロゴに反映させることで、ブランドのアイデンティティを強化し、顧客に訴求力を持ったロゴを提供することができます。見ただけで「なるほど!」と思ってもらえるのがベストですが、言葉で説明して理解できるものでもかまいません。
例えば、ネット通販大手のAmazonのロゴは「a」から「z」に向かって矢印が伸びています。これはAmazonにはAからZ、つまりすべての商品が揃っていること示すとともに、顧客満足の象徴である「笑顔」を表しています。こうして理由を聞いてみると納得できますし、前より愛着が湧いてきませんか?
意味のあるロゴは、ブランドのコンセプトを徹底的に理解していないと作れません。視覚的に表現できるかどうか以前に、ブランドコンセプトの理解が重要なのです。
ロゴデザイン作成時によくある失敗
以下によくある失敗を挙げました。慣れていない人はとくに、わかっていてもついやってしまうかもしれません。「自分には関係ない」と思わず、ありがちな失敗のパターンを知っておきましょう。
色に頼る
色はロゴデザインにおいて重要な要素ですが、頼りすぎるのは危険です。ロゴはモノクロで表現しなければならない時があります。鮮やかな色やグラデーションありきで作ってしまうと、モノクロでは使えません。
むしろ最初は色はつけずに造形を行い、整えてからはじめて色を検討するくらいでいいでしょう。造形が洗練されたロゴは、色がなくても映えるものです。
要素を詰め込みすぎる
要素を詰め込みすぎると一瞬で認識できなくなり、視覚的な印象が弱まる可能性があります。重要なのは、ブランドコンセプトに一直線につながるシンプルな表現をすることです。要素が増えるほど理解にくく、印象に残りにくくなると覚えておきましょう。
形だけ作る
ロゴデザインは、形が存在するだけでは意味を持ちません。ブランドのストーリーやコンセプトを反映させることが重要です。「なぜその形なのか」説明ができない造形ではブランドとの結びつきや共感が薄れてしまい、印象にも残りません。形だけのロゴでは意味がないのです。
ターゲット層を考慮しない
ロゴデザインは、ターゲットオーディエンスに訴求するために作られるものです。したがって彼らの好みや価値観は絶対に考慮されなければなりません。
ターゲット不在でロゴを作ろうとする人はほとんどいないと思いますが、ターゲットより自分たちの思いを優先してしまうケースは意外とあるかもしれません。自分たちの思いを込めるにしても、まず優先すべきはターゲットオーディエンスです。
まとめ
以上、ロゴデザイン制作の考え方とポイントについて解説しました。
Web制作会社、デザイン会社、ブランディング会社、個人に依頼する等、ロゴの依頼方法は様々です。イメージに合った企業にお願いするのが良いでしょう。
株式会社セブンデックス|ブランディング
ロゴデザインの形には意味があります。なぜその形になっているのか、説明できるだけの背景があるということです。ターゲットオーディエンスとブランドアイデンティティの理解はその大元になる部分ですので、リサーチをしっかりと行い理解を深めた上で制作を進めてください。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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テキスト:加藤久佳 デザイン:小林沙綾