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海外と日本で人気のECモール4サイトのデザインをデザイナー目線で解説

海外と日本で人気のECモール4サイトのデザインをデザイナー目線で解説

世界のEC市場は年々規模を拡大してきました。経済産業省の2022年の報告によると、国別の BtoC-EC 市場規模は中国が圧倒的に大きく、次いでアメリカ。さらにイギリスと日本が続きます。この4カ国だけでおよそ75%、中国だけで50%を占めている状況です。

しかし、各国で人気のあるECサイト、とくに多くの人に利用されているECモールは異なっています。好まれる理由もそれぞれにあるようです。具体的には以下のとおりです。

  1. 中国:アリババ
  2. アメリカ:e-Bay
  3. 日本:楽天
  4. イギリス:Amazon

この記事では、BtoC-EC 市場規模トップ4カ国に注目して、ECモールの人気の背景を分析します。

※本当はアメリカもAmazonが1位でしたが、イギリスとの重複を避けて2位のe-Bayを取り上げます。

中国:Alibaba.com

中国:Alibaba.com

参考

Alibaba.comは、ジャック・マー氏によって創立された中国発の世界最大級ECサイトです。

アリババの人気は「圧倒的安さ」

アリババは、商品を圧倒的に安く提供することで知られています。彼らはさまざまなジャンルの商品を、日本のECサイトでは想像もつかないような価格で販売するのです。価格競争に優れた商品は、中国の消費者に非常に好まれ人気があります。

「ハンドバッグ」で検索すると、ほとんどの商品が¥500以下でした。この安さを手放しで喜べないのは、価格の低下に伴って品質も下がる可能性がある点です。実際、商品について問題が発生することがよくあり、売り手は品質を保ちつつ厳しい価格競争に晒されています。

中国:Alibaba.com

中国の消費者向けには、現地の支払いシステムであるAlipayが提供されており、安全かつ簡単な支払いが可能です。

物流においても、中国国内には優れた物流ネットワークが整備されており、円滑な配達システムが好評です。翌日配達などのサービスを提供することで、消費者の期待に応えています。

デザインはシンプル

アリババのウェブサイトは、ウェブページの左側にカテゴリーが表示され、四角い商品画像が整然と配置されています。各商品には詳細な情報が掲載されており、返品可能かどうか、価格帯、最低発注数、そして5段階評価などが提供されています。このように、詳細な情報が提供されているため、ユーザーは迅速に希望の価格帯や商品の概要を確認できます。

ビジュアルは白を基調としたシンプルなものです。オレンジ色の検索ボタンやロゴなどを用いて、サイト内のテキストに視覚的な強調を加えています。

中国:Alibaba.com

多言語対応もされているようです。

中国:Alibaba.com

また、国別のサイトページも多数作成しており、アメリカサイトはすぐ商品が提示されるデザインで、バナーもアメリカの国旗と象徴するものが描かれています。

中国:Alibaba.com

参考

日本版サイトは日本を連想させるイラストがバナーに使われています。商品はカテゴリーで分けられていて、概要までは表示されていません。

中国:Alibaba.com

参考

アメリカ:eBay

アメリカ:eBay

参考

eBayは、アメリカを拠点とする国際的ECサイトで、オンラインオークションが行えるプラットフォームです。世界中の個人や企業が商品を販売・購入する場として利用されています。

eBayの人気は「オークション形式」

アメリカ:eBay

eBayは、多くのECモールと異なり、オンラインオークション形式を採用しています。

日本でも最近はビンテージアイテムが注目されていますが、アメリカにおいてはコレクターカルチャーが根付いており、ビンテージアイテムを取り扱うeBayが長らく愛用されてきました。さらに、アメリカでは個性的なアイテムを所有することが高く評価される傾向にあり、eBayのオンラインオークション形式は、このカルチャーにぴったり合っていると言えます。

90年代を感じさせるグリッドデザイン

eBayのファーストビューは、検索バーとカテゴリなどが表示されるありふれたデザインですが、どこか懐かしさを感じさせます。

90年代のデザインには、グリッドや尖った四角で囲まれたテキストなどの要素がよく見られました。現代のeBayサイトでは同様のデザインが取り入れられています。これが懐かしさを感じさせる要因の一つとなっているでしょう。

アメリカ:eBay

商品ページは非常にシンプルにデザインされ、ユーザーが情報を簡単に読み取れるように工夫されています。メインカラーが薄いグレーと白い背景を使っているため、全体的にはやや暗い印象を受けますが、商品の画像は大きく表示され、印象的です。商品情報は太字の文字で示され、すべてが黒または青色で統一されています。重要なアクションボタン(例: 購入ボタン)は青で囲まれているため、ユーザーに目を引くデザインとなっています。

イギリス:Amazon.com

イギリス:Amazon.com

参考

アメリカ発のAmazonは、じつはイギリス国内でもっとも使われているECサイトです。
2022年度にStatistaが発表した、イギリスのオンラインショップ売り上げランキングでは2位のSainsbury(大手スーパー)に倍以上の差をつけて1位に輝いています。

イギリスのオンラインショップ売り上げランキング

2022年のイギリスECサイト売上高ランキング

出典

Amazonの人気は「唯一であること」

じつは、イギリス国内にAmazonに匹敵するECモールのライバルはいません。イギリスのオンラインショップ売り上げランキングの2位と3位は両方とも大手スーパーのECサイトです。したがってオンラインショッピングの需要はAmazonが満たさざる得ないのです。

幅広い品揃えやサービスはいうまでもありませんが、返品ポリシーや手厚いカスタマーサポートも整っており、高い信頼性を獲得しています。

メリハリが効いて見やすいデザイン

Amazonのウェブサイトデザインは非常に洗練されており、ユーザーフレンドリーです。ファーストビューに、すべてのカテゴリ、ログインボタン、おすすめ商品、自社製品のプロモーションなど、情報が整然と表示されています。

テキストはフォントサイズを変えて重要度を明示しています。また、カラーの選択も巧みで、ビビッドな色を使用しながら、他の背景と調和するトーンを持つカラースキームを使用しているため見やすいです。

イギリス:Amazon.com

ユーザーはメインページから目的の商品のカテゴリを選ぶか、検索バーで商品名を入力して検索できます。統一されたビジュアルとわかりやすい画像が、ユーザーが探している商品に簡単にアクセスできるようにサポートしています。

イギリス:Amazon.com

「カゴに入れる」ボタンと「今すぐ購入」ボタンは、明るい黄色とオレンジ色で表示されているため、非常に目立つデザインです。

イギリス:Amazon.com

日本:楽天市場

日本:楽天市場

参考

楽天(Rakuten)は日本発の巨大ECサイト、およびインターネットサービス企業です。楽天市場などのオンラインプラットフォームを運営し、幅広いサービスを提供する多国籍企業として成果を挙げています。

楽天の人気は「貯まりやすいポイントプログラム」

Statistaの調査によると、日本のECサイトのブランドロイヤルティを高める主な理由は以下のとおりです。「低価格」と「ポイント制度」が上位に入っています。

  1. 低価格
  2. 商品の見つけやすさ
  3. 配送の早さ
  4. ポイントなどのお得さ

これに照らし合わせると、楽天には魅力的なポイントプログラムがあります。条件によって何倍にもなり、貯まりやすいのが特徴です。個人的にも「あれ、もうこんなに貯まってる!」と思うくらい、よく貯まります。

出店数が多く価格競争もあるため、実店舗より安く買えるケースはめずらしくありません。ポイントは買い物で使えるだけでなく、楽天が展開するトラベルなどのサービスでも使えます。

実店舗での買い物でも貯めたり使ったりできるので、オンラインもオフラインも楽天カードで支払っているという人は少なくないかもしれません。
そのくらいポイントと買い物がうまく連動し、買い物を楽しいものにしています。

デザインの分析

日本:楽天市場

デザインで目を引くのは、宣伝広告やクーポンの提示です。横長のバナーには「お買い物マラソン」や「クーポン配信中」などの言葉が使われ、ユーザーの関心を引き寄せます。市場のような賑わいを感じさせる効果もあるのではないでしょうか。

サイトではアクセントカラーとして赤が使われており、重要な情報を際立たせます。
商品をランキング形式にしているのは、ユーザーを注目させるうまいやり方です。

日本:楽天市場

ショップ専用のページも作れる

楽天では、ショップ専用のページが作れます。
以下は生活雑貨のお店「after-end」のページです。楽天サイト内のページとして、こんなすっきりとしたデザインのページを作ることができます。
楽天市場で出店しているサイトは数えきれないほどあるため、お店のポジションを直感的にわかってもらえるデザイン設計が必要です。

生活雑貨のお店「after-end」

参考

まとめ

以上、EC市場規模の大きい、中国、アメリカ、イギリス、日本で人気のあるECサイトをご紹介しました。
サイトのデザインや売り方を研究することで、その国のユーザーが重視していることがわかってきます。ECサイトを作る際には、ぜひすでに成功しているライバルサイトを参考にしてみてください。

クーシーブログ編集部

この記事を書いた人

クーシーブログ編集部

1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。

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