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【ECサイトの成功事例】成功要因が学べる9サイトを紹介します

【ECサイトの成功事例】成功要因が学べる9サイトを紹介します

「自社のECサイトの売り上げが伸びない」
「どんな施策を採ればいいかわからない」
とお悩みのご担当者の方へ。

この記事ではECサイトの成功事例を9つ、解説付きでご紹介します。

おそらくあなたは、ECサイトの運営を改善する施策をすでにいくつかご存知かと思います。今回取り上げたサイトで行われた施策も特別なものではありません。しかしそこに至る考え方や取り組みの中身は注目すべきものであり、御社のサイトの施策を考える際のヒントを与えてくれるでしょう。

ECサイトにはいろんな成功パターンがあることがおわかりいただけると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

ECサイトの成功事例9選

ECサイトの成功事例を9つご紹介します。幅広い事例を取り上げるため、別々の業界から選定しました。ではどうぞ。

ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラ

大手家電量販店「ヨドバシカメラ」のECサイトです。ヨドバシカメラは、実店舗の売上でヤマダ電機、ビックカメラに及びませんが、ECでは高い売上げを誇ります。1998年にECサイトを開設しており、かなり早い時期からECの活用に取り組んでいました。

ヨドバシカメラのEC戦略の特徴は、「リアルとネットの統合」。いわゆるオムニチャネル戦略です。800万点以上の品揃えを誇るヨドバシであっても、お店に来てみたら在庫がなかったというケースが起こりえます。

ヨドバシカメラは店舗で見た商品をネットで買えるようになっており、店舗での在庫切れに対応できます。逆に、ネットで買った商品を店舗で受け取ることも可能です。リアルとネットをうまく組み合わせて、どちらを利用しても高いサービスを受けられるようになっています。

また、物流においても強みがあります。「ヨドバシエクストリーム」は対象エリア限定ながら、原則無料、最短2時間半以内に配送を完了できる配送サービスです。配達予定時刻をメールで知らせてくれるなど、こちらも顧客満足度の高いサービスとなっています。

参考

カインズ

カインズ

ホームセンター「カインズ」のECサイトです。カインズは2018年に「IT小売業宣言」をして以降、3年ほどで売り上げが400億円ほど増加しています。

カインズもヨドバシカメラと同様、デジタルとリアルの融合を積極的に進めている企業です。同社のECサイトは、「お客様のライフスタイルに最適な選択肢」の一つとして提供されています。忙しくて来店できない、近くに店舗がないなどの理由で来店が困難な人にはECサイトを使ってもらおうということです。

しかしサイトの存在を知らなければ、使ってもらうこともできません。ECサイトで悩みの種となる「集客」について、カインズでは「となりのカインズさん」というオウンドメディアを活用しています。カインズの商品にまつわる記事が多数投入されているメディアですが、裏側にはデータマネジメントプラットフォームが入っており、ユーザーの嗜好がわかります。このデータをもとにWeb広告を運用し、初回購入に繋げて会員になってもらうという戦略です。

デジタル戦略で躍進したように見えるかもしれませんが、根底にあるのは来店頻度の高いデジタル会員をいかに増やすかという顧客戦略です。ECサイトだけでは売れないのはカインズほどの企業も同じで、最初の数年は赤字事業だったようです。戦略の重要性がわかる成功事例ではないでしょうか。

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ニトリ

ニトリ

インテリア小売の大手ニトリのECサイト「ニトリネット」です。「お客様が欲しい情報や商品まですぐにたどり着けるような導線設計」や、お客様ニーズを分析しながら「場所や時間を問わず、より便利で新しい買い物体験やモノを提供していくこと」を基本方針としています。ECサイトの他に公式アプリ「ニトリアプリ」があり、会員数は23年3月期末で1600万人超です。

ニトリのEC運営には、「顧客の利便性を上げる」「顧客との接点を増やす」という2つの姿勢が見えます。利便性の向上として、2019年8月にECサイトとアプリをリニューアルしました。このときアプリに画像検索機能が追加されています。欲しい商品の画像をアップロードするだけで、類似の商品が表示されることでユーザーは商品を探しやすくなりました。

顧客との接点作りでは、「ライブコマース」が挙げられます。「インスタライブ」に加えて、「ニトリネット」内で行う「ニトリライブ」も週2回配信されています。

さらに従業員によるコーディネート投稿が強化されているのもポイントです。投稿により表彰やインセンティブがつくこともあり、年間で約4400件の投稿が行われているそうです。内外のステークホルダーをうまく巻き込んだECサイト運営と言えます。

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土屋鞄製造所

土屋鞄製造所

土屋鞄製造所(以後、土屋鞄)は1965年に創業したバッグメーカーです。ECによる販売は2000年代初頭から開始しています。こちらのECサイトはShopifyの上位プラン「Shopify Plus」で作られています。

土屋鞄のECが成功している要因は、「内製化」と「外部との協業」です。

「お客様により良いブランドの価値を提供するためには、スピーディーな対応が求められる」という考えから内製化の取り組みが始まりました。これを可能にするためにShopifyが導入されましたが、同時に、Web制作に関する研修を行うなど社内の人材の教育にも力を入れています。サイトリリース後は、多くの作業を自社内でスピーディーに行えて、コストやリソースを抑えて運用できるようになりました。

Shopifyへの移行は、株式会社フラクタを開発パートナーとして行っています。専門の事業者からアドバイスがもらえることで、アプリやテーマの選定などで適切な判断ができたのも成功の要因でしょう。少しずつ内製化を進めた結果、制作会社への作業依頼は減少しましたが、事業戦略や採用や教育といった人材戦略などで協力関係は継続しているようです。

現在の土屋鞄のサイトを見ると、豊富なコンテンツもさることながら、お知らせやインスタグラムの更新頻度の高さが目を惹きます。小回りの効くスピーディな対応がブランド価値をさらに高めています。

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new balance

new balance

スポーツシューズメーカー「new balance」のECサイトです。

同社はECサイトを直営店と連携させる戦略をとっています。「サイズや履き心地を確かめずに靴は買えない」と思っている人は多いはずです。これに対して同社の牧嶋琢実Eコマース部シニアマネージャーは「まずは実店舗で確かめてもらい、自分に合うサイズが分かった段階でECを利用してもらえればいい」としています。

また同氏は「メーカーの公式ECはブランド好きな人にとってのファーストデスティネーションであるべき」と述べており、公式ECを売るだけのサイトではなく、正確なブランド情報を届ける場として考えています。実際にサイトを見てみると、楽しいデザインとコンテンツで、既存のファンの維持と新しいファンの獲得に貢献していそうです。

こちらの公式ECでは電話注文ができるようになっています。ランニングなどを楽しむ層の中にはネットリテラシーが高くない人も一定数いるはずです。このような層の方々も買い物が楽しめるようになっています。ECサイトを運営することで、ブランドを知ってもらう機会と購入してもらえる機会の両方を拡大しています。

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Knot

Knot

自由に盤面やベルトなどを自分の好みで組み合わせられる腕時計ブランド「Knot(ノット)」のECサイトです。

同ブランドの腕時計はカスタムオーダーできるのですが、商品を並べておくだけのECサイトでは、ネット上でパーツを自由に組み合わせるのは難しいところです。「組み合わせを試してもらう」というハードルを越えてもらうために、サイトでは時計の盤面、ストラップ、バックルなどがクリックで入れ替えられるようになっています。簡単にいろいろ試せて、「自分にとって最高の組み合わせを作りたい!」という気持ちにさせる設計となっています。

腕につけたところも見られ、ECサイトでありながら着用イメージがしやすいです。インスタグラムと連携してスタイリングのイメージも湧きやすくなっているほか、制作秘話などのコンテンツが豊富で、興味を持ったユーザーをファン化する仕掛けもよく考えられています。

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ふくや

ふくや

「明太子のふくや」として知られる株式会社ふくやのECサイトです。同社は1948年に創業。本社を福岡に置き、明太子の製造・販売、各種食料品の卸・小売を営んできました。1997年より開始した自社ECは主にギフト需要でしたが、2020年のコロナ禍で家庭用明太子のニーズが高まり、売り上げが急増しました。

こちらのECサイトでは、2015年に25%だったスマホからの購入率が、2022年には51%を記録しており、PCからの購入率を超えています。この背景にあるのは、2017年に行った「Amazon Pay」の導入です。

Amazon Payは、Amazonのアカウント情報を利用して支払いができるサービスで、面倒なユーザー登録作業が不要となります。ユーザー登録をしなくても買い物ができるため、初回購入のハードルがぐっと下がります。フォーム画面で離脱するユーザーが3〜5割いると言われている中で、Amazon Payの手軽さはカゴ落ちを防ぐ効果がとても大きいと考えられます。

同社ではAmazon Pay導入後、利用キャンペーンを行っており、「Amazon Payなら簡単に買える」というイメージ作りも行っていました。導入するだけでなくユーザーへの周知もしっかりと実施しています。

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小さいふ。クアトロガッツ

小さいふ。クアトロガッツ

大阪府茨木市を拠点にオリジナルの革財布を企画・製作・販売するファクトリーブランド、「小さいふ。クアトロガッツ」のECサイトです。こちらのサイトは、カラーミーショップで作られており、「カラーミーショップ大賞 2020」で大賞を受賞しました。

発信力がすごいサイトですが、その始まりはネット担当の方が「お客さんが毎日訪れたくなるようにするにはどうすればいいか」と考えたこと。少しずつ工夫して、「旅財布」「エイジング写真コンテスト」などお客さん参加型の企画を考えたり、日替わりの新色「今日の小さいふ。」を毎日投稿したりして、サイトに訪れた人を楽しませています。その威力はすさまじく、こうして記事を書くために訪れた筆者自身が、ちょっとファンになりかかっているほどです。

これだけこまめで熱量のある情報発信は、内製でないとできません。「文章も写真もイベントも、自分たちのつくったものを伝えるための大事な仕事」「お客さんから受けとったものをどれだけ早く企画として返せるかが重要」と考えて、自分たちの裁量でどんどん発信を続けているのだそうです。

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石けん百貨

石けん百貨

ECサイト石けん百貨は、2005年にスタート。当初は石けんを中心にわずか10商品ほどを扱うECサイトでしたが、今や6,000点の商品数、年商4億のサイトに成長しています。

こちらのサイトの成功要因は、徹底的にお客様のことだけを考えて運営したことです。「本当にいいものを消費者に届ける」というこだわりと同様、お客様にとって「見やすいか」「使い勝手がいいか」「どこにリンクがあると便利か」という視点で作業が進められました。

例えば、石けん百貨とは別に「石鹸百貨」という情報サイトがあるのですが、こちらの記事下の商品紹介エリアのリンクもこだわっています。普通は自動でリンクを入れるところですが、お客様の視点で手動で設置されているという徹底ぶりです。商品の説明文は外注ライターを使わず、内部スタッフの方が推敲を重ねて書いているそうです。

その結果、SEOでもいい効果があり、石けん百貨への流入は2011〜2014年で2.2倍になりました。SEOにいいからやったのではなく、「お客さまにとって価値があるから」やったことが結果としてサイトへの多くの流入を生んだのです。

参考

ECサイトを成功させるコツとは?

ECサイトを成功させるコツには、一般的に以下のようなものがあります。

  • 競合サイト分析
  • Amazon、楽天などのモール型ECへの出店
  • オムニチャネル戦略
  • レビューの充実
  • コンテンツマーケティングの充実
  • メールマーケティングの利用
  • SNSとの連携
  • Web広告の活用

どれもそのとおりなのですが、今回ご紹介した事例を見ると「これらをやれば成功できる」というものではないことがわかります。

たしかに、ヨドバシカメラはオムニチャネル戦略を採っていましたし、カインズはコンテンツマーケティングに力を入れていました。しかし、いずれの施策も大事なのはそれをやることではなく、「なぜそれをやるのか」という理由ではないでしょうか。

施策はサイトによって違っても、行う理由は共通していました。それは「お客様のため」です。お客様に実店舗と変わらないくらい快適な体験をしてもらうにはどうすればいいか。どうすれば安心して買い物を楽しんでもらえるか。どうすれば店舗に来られないお客様に気軽に買い物をしてもらえるか。この視点に立って自社サイトに合う施策を考えるのが、ECサイト成功のコツであると考えます。

どの事例もすんなり成功に辿り着いたように見えますが、例外なく多くの失敗を乗り越えてきているはずです。粘り強く取り組むことも成功のコツと言えるでしょう。

まとめ

以上、ECサイトの成功事例を9つご紹介しました。

ECサイトというと、「どうやって集客するか」「どうやってCVRを上げるか」と考えがちですが、今回ご紹介したサイトの中にはそういうことを考えて運営されていそうなサイトは一つもありませんでした。売れなければ意味はないですが、売るための運営をしていてはECサイトは決して成功しないということです。

もしあなたがECサイトの運営に行き詰まっていたら、一度「お客様の視点」に立ち返って考えてみるといいアイデアが浮かぶかもしれません。

クーシーブログ編集部

この記事を書いた人

クーシーブログ編集部

1999年に設立したweb制作会社。「ラスクル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。

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