【徹底解説】チャットボットとは?機能・導入メリット・作り方まで詳しく解説

チャットボットとは? 仕組みと進化の歴史
チャットボットとは、ユーザーとの会話(チャット)を自動で行うプログラムの総称です。
企業のWebサイトやSNS、カスタマーサポートなど、さまざまな場面で活用されており、業務の効率化や顧客対応の向上を目的に導入が進んでいます。
チャットボットの歴史:ELIZAから現代へ
チャットボットの歴史は1960年代にまでさかのぼります。最初のチャットボットとされる「ELIZA」は、簡単な対話を行うプログラムとして開発されましたが、当時はあくまで実験的な存在でした。
その後、2000年代に入り、自然言語処理(NLP)技術やAI(人工知能)の進化によって、より自然な対話が可能になりました。特に2016年には、LINEやFacebookメッセンジャーが開発用APIを公開したことで、企業の導入が加速。現在では、多くのWebサイトやサービスで活用されるようになっています。
Web担当者が知っておくべき!チャットボット導入の4つのメリット
近年、企業のWebサイトでチャットボットの導入が進んでいます。
特にカスタマーサポートの自動化や業務効率化の観点から、Web担当者としてはその導入メリットを把握しておくことが重要です。
そこで、チャットボット導入や運用サービスも行っているWeb制作会社クーシーが、チャットボットを導入する主な4つのメリットについて解説します。
1. 24時間365日対応で顧客満足度が向上
チャットボットなら、営業時間外や休日でもユーザーの問い合わせに対応可能です。特に、以下のような効果が期待できます
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即時回答
により、ユーザーのストレスを軽減し、満足度を向上
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問い合わせ対応の遅延を防ぎ、販売機会の損失を最小化
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FAQの自動化
で、サポート対応の質を均一化
特にECサイトやサービス業では、機会損失を防ぐためにも、迅速な対応が求められる場面が多いため、導入メリットが大きいといえます。
2. 問い合わせ対応の効率化
チャットボットは、「よくある質問(FAQ)」への対応を自動化できます。その結果、次のようなメリットがあります。
- 簡単な問い合わせは自動対応し、サポート担当者が優先度の高い業務に集中できる
- 社内問い合わせ(ITサポート、人事関連など)も自動化し、業務効率を向上
- 社内ナレッジをデータ化することで、情報共有のスピードを改善
特に、Web担当者は問い合わせ対応の一部を担うことが多いため、人的リソースの最適化という観点でも、導入を検討する価値があります。
3. 担当者の負担軽減とコスト削減
チャットボットが一次対応を担うことで、問い合わせ対応の負担が軽減され、運用コストの削減にもつながります。
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コールセンターの負荷軽減
:有人対応が必要なケースを最小限に抑え、オペレーターの負担を軽減
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コスト削減
:人件費・残業代・外注費などのコストを圧縮
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対応品質の向上
:オペレーターの負担が減ることで、より質の高い対応が可能
企業の規模が大きくなるほど問い合わせ対応のコストが増えるため、自動化による省人化の効果は特に高まります。
4. ユーザーが気軽に問い合わせしやすい
従来の電話やメールによる問い合わせは、ユーザーにとって心理的ハードルが高いことがあります。
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「ちょっとした質問」でも気軽にできる
ため、問い合わせ件数の増加が期待できる
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カジュアルなコミュニケーション
が可能になり、ユーザーとの接点を増やせる
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チャット形式に慣れたユーザー層(若年層・モバイルユーザーなど)に適している
特に、BtoCサイトやサービス系のWebサイトでは、ユーザーが問い合わせしやすい環境を整えることが重要です。
チャットボットの機能
チャットボットの主な機能は、自動応答、FAQ連携、AIによる精度向上、外部連携によるパーソナライズ対応です。ここでは代表的な4つの機能を解説します。
1. 自動応答(即時対応)
あらかじめ設定された質問やキーワードに対して、即時回答を行う機能です。問い合わせの待ち時間をほぼゼロにすることで、ユーザーの疑問をスピーディに解決できます。特に、ECサイトやカスタマーサポートにおいて、問い合わせ対応の負担を大幅に軽減できるのが特徴です。
2. FAQ連携(問い合わせの最適化)
サイト内のFAQと連携させることで、ユーザーが求める情報を迅速に提供できます。特に、定番の問い合わせに対しては、チャットボットが適切なFAQページへ誘導することで、自己解決率を向上させることが可能です。
3. 機械学習による回答精度の向上
AIを活用したチャットボットは、過去の会話データを学習し、回答の精度を向上させることができます。初期段階ではルールベースの対応が中心ですが、運用を続けながら学習データを更新することで、より自然な対話や高度な質問にも対応可能になります。
4. 外部システムとの連携
CRM(顧客管理システム)やSNS、ECサイトなどと連携することで、ユーザーの行動データを活用したパーソナライズ対応が可能になります。たとえば、過去の購入履歴をもとにおすすめ商品を提案したり、ユーザーごとに適したFAQを表示するといった高度な運用も実現できます。
チャットボットをWebサイトに導入する活用例
Webサイトへのチャットボット導入には多くのメリットがあります。ここからは、具体的な活用例を挙げながら、チャットボットがどのような場面で効果を発揮するのかを紹介します。
1. ユーザー対応の強化と顧客体験向上
チャットボットを活用することで、24時間いつでも問い合わせ対応が可能になり、ユーザーの利便性が向上します。FAQの自動対応によって、よくある質問への即時回答ができるようになり、カスタマーサポートの負担も軽減。スムーズな問い合わせフローを実現することで、顧客満足度の向上につながります。
2. 業務効率化と社内問い合わせの自動化
社内向けFAQをチャットボットに搭載すれば、従業員からの問い合わせ対応を効率化できます。ITサポートや人事関連の質問(社内制度、福利厚生、PCトラブル対応など)を自動処理することで、サポート担当者の負担が軽減され、本来の業務に集中できる環境が整います。
3. コールセンター・サポート業務の一部代替
電話・メール対応の負担を軽減し、人的リソースの最適化が可能になります。チャットボットが一次対応を行い、複雑な問い合わせのみを有人対応に回すことで、業務の自動化によるコスト削減やオペレーション改善が期待できます。
4. 社内ナレッジ共有と人材育成のサポート
新入社員研修の一環として、社内規定や業務マニュアルに関する質問対応に活用できます。また、過去の問い合わせデータを蓄積し、より精度の高いナレッジベースを構築することで、継続的な学習機能を持つAIチャットボットの運用も可能になります。
5. 多言語対応・インバウンド対策(観光・自治体向け)
観光業界や自治体向けのWebサイトでは、訪日外国人向けのサポートとして多言語対応のチャットボットを活用できます。例えば、大阪観光局は「OSAKA-INFO」に生成AIチャットボットを導入し、20言語以上に対応するなど、インバウンド需要を意識したサイトでは大きな効果を発揮しています。
チャットボット導入で気をつけたいポイント
チャットボットは問い合わせ対応の効率化に役立つ一方で、万能ではありません。導入にあたっては、適切な運用を考慮しないと逆効果になることもあります。ここでは、導入時に注意すべきポイントを解説します。
完全な自動化は難しい
現在のチャットボットは、事前に設定されたルールや過去の学習データをもとに回答を行います。そのため、想定外の質問や複雑な内容には対応しきれず、有人対応が必要になる場面も多いのが実情です。
特に、カスタマーサポートをすべて自動化しようとすると、かえって対応品質が低下するリスクがあります。チャットボットの役割は、あくまで一次対応の効率化であり、難易度の高い問い合わせには適切に有人対応へ引き継ぐ設計が必要です。
複数の質問を同時に処理するのが苦手
チャットボットは基本的に、ユーザーからの質問を一つずつ処理する設計になっています。例えば、一度に複数の質問を投げかけられると、意図を正しく理解できず、適切な回答ができないケースがあります。
こうした課題を補うためには、「質問をひとつずつ入力してください」などの案内を入れる、もしくはチャットボットの限界を理解した上で、有人対応との連携を強化することが重要です。
チャットボット導入に向かないケースもある
すべての企業・サービスがチャットボットを導入すれば成功するわけではありません。問い合わせの性質によっては、チャットボットが適さないケースもあります。
例えば、以下のようなケースでは、チャットボットだけで対応しようとするとかえって不便を招くことがあります。
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個別のヒアリングが必要な問い合わせ
(オーダーメイドの相談、複雑な契約内容の説明など)
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ユーザーの感情に寄り添う必要がある対応
(クレーム対応、トラブル時のサポートなど)
このような分野では、チャットボットを無理に活用するのではなく、有人対応と適切に組み合わせることが重要です。導入前に、自社の問い合わせ内容を分析し、チャットボットの強みが活かせるかどうかを見極めることが求められます。
適切な運用でチャットボットの効果を最大化する
チャットボットは、適切な用途で活用すれば業務効率化や顧客対応の改善につながるツールです。しかし、すべての問い合わせを自動化できるわけではないため、導入前にその限界を理解し、有人対応とのバランスを取ることが成功の鍵となります。
導入を検討する際は、「チャットボットだけで対応できる範囲」と「有人対応が必要な範囲」を明確に分け、最適な運用フローを設計することが重要です。
チャットボット導入を検討すべき理由
チャットボットは、企業のWebサイト運営において「顧客対応の向上」と「業務負担の軽減」を両立できる手段です。
導入を検討する際は、以下のポイントを押さえておくと、社内での提案がスムーズになります。
- カスタマーサポートの負担を減らし、ユーザー満足度を向上できる
- 社内業務の自動化を推進し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速できる
- コスト削減や業務効率化の観点から、経営層への提案材料として有効
- データを活用し、運用を最適化しながら改善し続けることができる
Web担当者にとって、「チャットボット導入=Webサイトの価値向上」につながる施策です。導入を検討する際には、適切な用途を見極め、どのように活用すれば自社の課題解決につながるのかを明確にすることが重要になります。
チャットボットの導入事例
近年、多くの企業がチャットボットを導入し、顧客対応の自動化や業務効率化を進めています。ここでは、実際にチャットボットを活用して成果を上げている企業の事例を紹介します。
クレディセゾン:カスタマーサポートと社内対応の両面で活用

クレディセゾンでは、2017年にシナリオ型対話機能を備えたチャットボットを導入し、カード会員からの問い合わせ対応を自動化しました。これにより、電話やメール対応の負担を軽減し、ユーザーが24時間いつでも情報を取得できる環境を整備しています。
さらに、社内向けには内製開発したFAQシステムと連携した「アシストくん」を導入。社員からの問い合わせにもチャットボットが対応することで、業務のスムーズ化と生産性向上を実現しています。
参考:
損保ジャパン:24時間対応で顧客サポートを強化

損保ジャパンでは、2020年1月よりAIチャットボット「BEDORE Conversation」を導入。まずは海外旅行保険【off!】の問い合わせ対応から開始し、その後自動車保険・火災保険などへ順次拡大しています。
この取り組みにより、24時間365日の受付が可能になり、電話窓口が開いていない時間帯でも保険の問い合わせができる環境を構築しました。また、LINE上のチャットボットも活用し、保険金請求手続きをオンラインで完結できる仕組みを導入しています。
参考:
チャットボットの作り方: 自作する場合
チャットボットを導入する際は、「自作」するか、「外部サービスを利用」 するかの選択が必要です。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、開発コストや運用のしやすさを考慮しながら決定することが重要です。
1. 自作する場合のステップ
① プラットフォームの選定
チャットボットの開発には、専用のフレームワークやAPIを活用する方法と、ゼロから自社開発する方法があります。
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フレームワーク・APIを利用
:開発期間を短縮できるが、機能制限があることも
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ゼロから自社開発
:カスタマイズ自由度は高いが、時間とコストがかかる
自社のニーズに応じて、開発スピードと機能の柔軟性のバランスを考えることがポイントです。
② 要件定義・設計
チャットボットを導入する目的を明確にし、どのような問い合わせに対応するのか、どの機能を実装するのかを設計します。
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- 目的(例:カスタマーサポートの効率化、社内問い合わせの自動化など)
- 主要な質問と回答のシナリオ作成
- 使用する開発言語やプラットフォームの選定
- 運用スケジュールの設定
この段階でしっかりと要件を固めることで、後の開発や運用がスムーズに進みます。
③ 運用開始・継続的な改善
リリース後は、ユーザーの質問内容やアクセスログを分析しながら、チャットボットの精度を向上させることが重要です。
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定期的なデータ更新
で回答の精度を高める
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ユーザーの行動パターンを分析
し、シナリオを最適化する
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有人対応との連携を強化
し、スムーズな運用フローを構築する
運用を続けながら改善を重ねることで、より高度な対応が可能なチャットボットに成長していきます。
チャットボットの作り方: 外部サービスを利用する場合
「専門知識がない」「開発リソースを確保できない」といった場合は、チャットボット開発・運用を請け負う外部企業に依頼するのも選択肢の一つです。
外部サービスを利用するメリット
- 開発コストを抑えながら短期間で導入できる
- 運用のノウハウが蓄積されているため、品質が安定している
- 定期的なアップデートやサポートを受けられる
一方で、カスタマイズの自由度は自作に比べて制限されることが多いため、「どの程度の柔軟性が必要か」を事前に確認しておくことが重要です。
まとめ:チャットボット導入のメリットと注意点
チャットボットは、AI技術や自然言語処理の発展により、現在ではスムーズな対話が可能になっています。企業が導入することで、以下のようなメリットが得られます。
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24時間対応が可能
になり、顧客満足度(CS)の向上
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よくある質問(FAQ)の自動化
で、問い合わせ対応の効率アップ
-
担当者の負担軽減
による業務の最適化
-
ユーザーが気軽に問い合わせできる
環境の整備
しかし、チャットボットには限界もあります。
-
複雑な問い合わせや個別対応が必要な場合は、有人対応が不可欠
-
複数の質問を一度に処理するのは難しい
ケースがある
-
感情面で寄り添う対応が求められる分野には向かない
そのため、チャットボットと有人対応を適切に組み合わせることが成功の鍵となります。
自社に合ったチャットボット導入を検討しよう
チャットボットを導入する際には、自社の課題や業務フローに合った設計が重要です。
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自社開発を検討する場合
は、要件定義や運用体制の整備に時間とコストがかかる
-
開発リソースが不足している場合
は、外部の専門サービスを活用するのも有効な選択肢
成功のポイントは、チャットボットを導入する目的を明確にし、適切な運用フローを構築すること。 自社の課題を整理し、最適な導入方法を検討してみてはいかがでしょうか?
私たちクーシーでもチャットボットの導入から運用、改善までをトータルでサポートいたします。興味がある、または検討中の方は、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。

この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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執筆者:クーシーサイト編集部 デザイン:ピョータント