ECサイトはShopifyかWordPressか?6つのポイントで比較します
ECサイトを構築するときに、ShopifyとWordPressのどちらを採用すべきでしょうか?
世界シェアでは、今のところWordPressでネットショップが作れるプラグイン「WooCommerce」が1位を保っていますが、Shopifyとの差はほとんどなくなってきました。
おそらく今後は、Shopifyが第一の選択肢として上がってくるでしょうが、WordPressの方が使い勝手がいいケースもあります。
本記事では両サービスを6つのポイントで比較しました。
あなたのビジネスにはどちらのサービスが適しているか、考える際の参考になれば幸いです。
ShopifyとWordPressはどんなサービス?
ShopifyとWordPressは、そもそもサービスの目的が違います。
ShopifyはEC特化型
Shopifyはクラウド型のECプラットフォーム。つまりはじめからECに特化したサービスです。
クラウド型なので、サーバーを自分で用意する必要はありません。
ネットショップ初心者の小規模サイトから大企業の大規模サイトまで、構築して運営することができます。
WordPressは汎用型
これに対してWordPressは、ウェブサイトやブログを作成・管理するためのシステムです。
ShopifyがEC特化型なら、WordPressは汎用型。ECサイトはもちろん、企業のコーポレートサイトから個人の運営するブログサイトまで作ることができます。
ECサイトを作る場合は、プラグインによるカスタマイズが必要となります。
一番使われているのは「WooCommerce」というプラグインです。
本記事では「WooCommerce」の使用を想定して、Shopifyとの比較を行います。
ShopifyとWooCommerceの世界シェアはほぼ同じ
built withによると、2023年7月現在、ECサイトのシステムでもっとも人気があるのがWooCommerceで、Shopifyはそれに次ぐシェアを獲得しています。
ただし、Shopifyの最上位プランである「Shopify Plus」と合わせると、ShopifyのシェアがわずかにWooCommerceを上回ります。
- WooCommerce Checkout・・・24%(円グラフ:赤)
- Shopify・・・21%(ピンク)
- Shopify Plus・・・4%(茶色)
個別の推移を見てもShopifyは右肩上がりなのに対し、WooCommerceは2022年からシェアが伸びなくなってきており、Shopifyの存在感が増してきていると考えられます。
ShopifyとWordPressをポイント別に比較
ShopifyとWordPress、あなたのビジネスにはどちらが適切でしょうか。
本記事は以下の6つのポイントで、両サービスを比較します。
- 立ち上げやすさ
- 初期費用とランニングコスト
- 決済手段
- サポート
- セキュリティ
- 分析機能
立ち上げやすさ:Shopifyが簡単
自社でやってみるなら、立ち上げはShopifyの方が簡単です。
Shopify公式の記事には「1日でストアの基礎の部分は完成させることができます!」とありますが、まさにそのような感じです。
ブラウザ上でアカウントを開設し、テーマ(デザインテンプレート)を選び、商品を追加し、という具合に進めていけば、ECサイトが立ち上がります。
一方、WordPressはサーバーから準備しなければなりません。
- サーバーを準備
- ドメインを取得してネームサーバーに紐付け
- WordPress環境をインストール
- テーマ(デザインテンプレート)を入れて、サイトをデザイン
ここまでで基礎部分が終わりです。
ここからさらにWooCommerceなど、ECサイトとしての設定があります。
かなりざっくりと書きましたが、WordPressの方が大変そうなのは何となく伝わったのではないでしょうか。
初期費用とランニングコスト:WordPressが低コスト
費用の面では、WordPressの方が低く抑えられます。
有料テーマと独自ドメインを使う前提で比較してみましょう。
初期費用はWordPressが8000円とお安め
Shopifyの初期費用は350USドルほど。日本円で5万円ほどになります。
ただしテーマやドメイン次第で、もっと抑えることは可能です。
Shopifyの場合
- 月額費用:33USドル
- 独自ドメイン:20USドル程度(ドメインによる。年額)
- 有料テーマ:300USドル程度(テーマによる)
WordPressもテーマやドメイン次第ですが、初期費用は8000円ほどになります。
テーマを「買い切りを想定」としたのは、最近はサブスク型の有料テーマがあるからです。
WooCommerce自体は無料で使えます。
しかし、ポイントカードシステムやセキュリティなどの機能を追加したい場合、有料プラグインを別途導入する必要があるので、追加コストが発生する可能性があります。
WordPressの場合
- 月額費用:1000円程度(サーバー代)
- 独自ドメイン:2000円程度(ドメインによる。年額)
- 有料テーマ:5000円程度から(テーマによる。買い切りを想定)
- WooCommerce:無料
有料テーマを使う前提なのでこの価格差がつきましたが、どちらも無料テーマなら、初期費用は数千円程度の違いになります。
ランニングコストはWordPressならサーバー代のみ
ランニングコストは、それぞれの月額費用分かかります。
Shopifyは5000円ほど、WordPressはサーバー代として1000円ほどです。
年間では、これに加えて独自ドメインの使用料がかかってきます。
ドメインの使用料は初年度と2年目以降で違うことがあるので、選択時に確認しておきましょう。
決済手段:どちらもひと通り対応可能
ECサイトで使う可能性がある決済手段は、以下の7つです。
- クレジットカード
- コンビニ決済
- 電子マネー
- 代引き
- 後払い
- 銀行振込
- キャリア決済
ShopifyもWooCommerceもすべてに対応可能ですが、使える決済サービスは違います。
使いたいサービスがあるかどうか確認しておきましょう。
ShopifyとWooCommerceで使える主な決済サービスは以下のとおりです。
Shopify | WooCommerce |
---|---|
Shopifyペイメント Shop Pay PayPal Amazon Pay KOMOJU Paidy SBペイメントサービス(SBPS) NP後払い atone NP掛け払い GMOペイメントゲートウェイ Smartpay 後払い.com |
stripe Pay.jp Paypal Amazon Pay KOMOJU Paidy 後払い.com NP後払い Paid LINE Pay PAY GENT ソニーペイメントサービス Square |
Shopifyの決済方法おすすめ9選!特徴と強みも一緒にご紹介!
サポート:Shopifyはサポートあり
Shopifyにはサポートがありますが、WordPressにはありません。
トラブルが起こったとき、Shopifyならコミュニティフォーラムで日本語での情報収集ができるほか、サポートセンターに問い合わせることもできます。
トラブルは必ず起きるものなので、いざというときに相談できる窓口があるのは心強いです。
一方、WordPressにはサポートセンターは存在せず、トラブルは自分で調べて解決することが求められます。
サポートフォーラムもありますが、書いてある内容を読み解く力が必要です。
トラブルの答えがサポートフォーラムに直接書いてあることは稀なので、基本的には検索してネット上の情報から必要なものを探してくることになるでしょう。
ただしECサイト制作をWeb制作会社に依頼した場合、サポートの有無は関係ありません。
保守管理業務も任せることができ、実質的にサイト制作を依頼した会社がサポートセンターの役割を果たすことになるからです。
こちらは専属のサポートなので、個別のトラブルにも細やかな対応が期待できます。
セキュリティ:ECに特化したセキュリティはShopifyが魅力
ECに特化したセキュリティについては、Shopifyの方が魅力的です。
ShopifyはそもそもECに特化したサービスであり、ECサイトにおけるセキュリティは最優先事項として対応されているからです。
Shopifyのセキュリティ
例えば、クレジットカード情報を安全に取り扱えるのかどうか。
こちらはクレジットカード業界の世界基準「PCI DSS」において、安全なネットワーク構築や、脆弱性管理プログラムの維持など、6つの項目で最高の水準を取得しています。
ストアにおいても、2段階認証やアクセス権限を制限する機能が実装されており、ストアアカウントへのハッキングに対応可能です。
Shopifyの運営側が新しくセキュリティを強化すると、すべてのストアにも同様の強化が適用されるようになっており、このことからもセキュリティに注意が払われているのがわかります。
WordPressのセキュリティ
WordPressはそもそもがオープンソースのプログラムである上、ユーザー数が非常に多く攻撃を受けやすい下地がありますが、それだけにセキュリティはプラグインなどで対応されてきています。
Shopifyにも実装されている2段階認証やアクセス権限の制限など、各種の対策はWordPressでも実装可能です。
WordPressでできるセキュリティ対策についてはこちらの記事をどうぞ。
【WordPressセキュリティ強化】必須の6つの対策を解説!
分析機能:Shopifyの方が使いやすい
分析機能は、Shopifyの方が使いやすいと思われます。
Shopifyの分析機能
Shopifyには「ストア分析」と「レポート」という機能があります。
ストア分析では、ストアの業績と顧客の行動を把握するための各種指標が表示されます。
- 販売合計
- リピーターの割合
- コンバージョン率
- 平均注文金額
- 注文総数
これらをはじめとして、ストア運営の改善に役立つ指標が多数見られるようになっており、売り上げを伸ばすヒントを与えてくれます。
レポートでチェックするのは、さらに詳細な指標です。
以下は一部の例ですが、内容がストア分析より細かくなっています。
- 商品別の販売率
- マーケティングに起因するセッション数
- 販売在庫率
- 時間経過に伴うおすすめ商品の変遷
ただし、低額のプランでは一部レポートが使えません。
WooCommerceの分析機能
WooComerceには、WooCommerce Analyticsというレポート機能があります。
以下をはじめとして、14種類の指標が見られます。
- 売上総利益
- 総売上高
- 純売上高
- 注文数
- 平均注文金額
Shopifyと比較すると、見られる指標は少ないです。
また日本語で書かれた情報も少ないため、使えるようにするための学習コストは高いと考えられます。
まとめ
以上、ECサイト構築についてShopifyとWordPress(WooComerce)をポイント別に比較しました。
本記事の比較の結果を踏まえると、WordPressが適しているのは以下のケースです。
- とにかく初期費用・運営費用をかけずにECサイトを始めたい
- 運用する社員がWordPressの操作方法に慣れている
- すでに集客できているWordPressブログをECサイト化したい
- 既存のWordPressサイトと同じURLでECサイトを持ちたい
一方、Shopifyを選ぶべきなのは以下のケースです。
- トラブルを自力で解決する自信がない
- ECに特化したセキュリティを重視したい
- ECサイトのバックオフィス業務が多忙になりそう
- 今後、事業の一定の成長が見込まれる
なおShopifyは、WordPressと併用することで集客力を伸ばすことも可能です。
すでにWordPressサイトをお持ちなら、Shopifyサイトとの連携を検討されてみてはいかがでしょうか。
Shopifyと既存WordPressサイトを連携させて集客チャネルを増やす方法
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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