今さら聞けない「Cookie」とは?初心者にもわかりやすく解説
この記事では「Cookie」について解説します。
言葉で聞いたことはあっても、「Cookieがどんなものか」「使用にあたって注意すべき点」まではよくわからない人が多いのではないでしょうか。
Cookieといえば、サードパーティCookieが規制される動きが強まっています。これもなぜそうなるのかわからないかもしれませんね。
本記事を読めば以下のことがわかります。
- Cookieがどんなものか
- ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い
- なぜCookieが規制されるのか
記事を読んだ後は、Webサイト閲覧時にCookieについて同意を求められても、きちんと意味がわかった上で判断ができるようになるはずです。
ではいってみましょう。
Cookieとは
Cookieとは、Webサイトから利用者のブラウザに送信されるテキスト情報です。利用者のWebサイト閲覧履歴や設定情報などを保存するために使用されます。
利用者が「WebサイトA」にアクセスすると、そのサイトから利用者のブラウザにCookieが送信されます。利用者のブラウザは送られたCookieを保持するため、前回訪問時の記録となります。
次回「WebサイトA」にアクセスすると、利用者のブラウザがCookieをWebサイトに送信し、前回訪問時の情報(Cookie)を渡します。これにより「WebサイトA」は利用者に対して、あたかも前回の訪問時と同じようにサイトの情報を表示することができます。
再ログイン不要もCookieのおかげ
CookieはWebサイトのセッション管理にも使用されます。たとえば利用者がログインすると、Cookieによってそのセッションが保持されます。利用者がログアウトするか、Cookieの有効期限が切れるまではセッションが維持されるため、利用者は次回サイト訪問時に再度ログインする必要がありません。
Cookieには有効期限がある
Cookieには利用者のプライバシーを保護するために、有効期限が設定されています。有効期限が切れると、ブラウザはCookieを削除しますが、利用者自身が削除することも可能です。
Cookieとキャッシュの違い
Cookieとよく似たものに「キャッシュ」があります。どちらもブラウザに保存される情報という意味では同じですが、保存される対象や目的が異なります。
Cookieは、セッションの管理情報やカートに入れた品物などの「情報や行動履歴」を保存するためのものです。保存された情報は、次回同じWebサイトにアクセスする際に利用されるため、再入力の手間が省けるなどの利便性の向上に寄与します。
一方、キャッシュは、Webサイトの見た目を保存するためのものです。具体的には画像やスタイルシート、Javascriptファイルなどが保存されます。これらのファイルは再度Webサイトを訪れた際に改めてダウンロードする必要がなくなるため、ページの読み込み時間を短縮することができます。
ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い
Cookieには「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」があります。それらの違いについて説明します。
ファーストパーティCookie
ファーストパーティCookieは、現在アクセスしているWebサイトと同じドメインからで送信されるCookieのことです。
アクセスされたWebサイト自身がCookieを作成し、利用者のブラウザに送信します。そのWebサイト専用の記録のようなもので、セッション管理や設定情報の保存などに使用されます。
サードパーティCookie
一方、サードパーティCookieは、現在アクセスしているWebサイト以外のドメインから送信されるCookieです。
例えば、あるニュースサイトに広告バナーが貼られていた場合、このサイトに訪問すると、ニュースサイトだけでなく広告配信サーバーからもCookieが発行されます。このようなCookieは、広告表示やウェブ解析などに利用されますが、プライバシー保護の観点から、多くのWebブラウザではサードパーティCookieをブロックする設定がデフォルトになっています。
Cookie規制をわかりやすく説明すると?
近年、EUを中心に世界的にプライバシー保護に関する規制が進んでおり、その一環として、Cookieに対する規制が広がっています。日本でも同様で、とくにサードパーティCookieに対する制限が厳しくなっています。
規制により、サードパーティCookieは利用者の許可がない限り使用できません。使用する場合は、利用者にCookieによるトラッキングが行われることを明示する必要があります。
Webサイトは、利用者にCookieの使用に関する情報を提供することが求められています。たとえばCookieの目的、有効期限、削除方法などを説明するプライバシーポリシーを公開することが必要です。
これによって、従来は可能だったサードパーティCookieによる、複数のドメインを横断したユーザーの行動履歴の収集が難しくなりました。
ブラウザでも進むCookie規制
プライバシー保護の観点から、ブラウザでもCookieを規制する動きが進んでいます。ブラウザはCookie情報を保存する仕組みを持っていますが、一部のブラウザではCookie使用を制限する機能が追加されました。
Apple社のブラウザ「Safari」では、すでにサードパーティーCookieは完全にブロックされています。Microsoft社のブラウザ「Microsoft Edge」でも、ブラウザの「追跡防止機能」により一部のCookieが影響を受けています。
一方、Google社は自社のサービス「Google広告」への影響が大きいためか消極的な姿勢を示しており、2023年3月現在、とくに規制は行われていません。ただし、プライバシー保護に対する世界的な動きを受け、将来的にはCookieの使用に関して変更がある可能性があります。
Cookieレスの影響
サードパーティCookieによるユーザー行動のトラッキングが制限を受けることで懸念されるのが、Web広告の配信精度の低下です。中でも「リターゲティング広告」に大きな影響が出ることが予想されます。
リターゲティング広告は、自社サイトを訪れたことのあるユーザーを追跡して広告を表示させる手法です。これまでリターゲティング広告に頼って広告運用を行ってきた場合、Cookieレスにより大きな影響を受けることになります。
一方、ファーストパーティCookieについては、個人情報保護に対する配慮は必要ですが、従来どおり利用することができます。今後のWebマーケティング戦略の一つのポイントになるでしょう。
Cookieを使用するメリット
規制の動きだけを見るとCookieが悪いもののように見えますが、実際にはユーザーや企業にとってさまざまなメリットがあります。
ユーザーは何度もログインをすることなく、Webサイトを快適に利用することができます。またカートの中身が保存されることで、買い物がスムーズになるでしょう。
企業側はCookieを利用して収集したデータに基づいたマーケティング施策を行うことができます。ユーザー自身の興味関心をより反映した広告を配信することが可能です。Webサイトをまたいでユーザーの行動を追跡できるため、より深いユーザー理解にも繋がります。ただし、ユーザーが広告の配信を歓迎していない場合は、このメリットはあまり意味を持ちません。
Cookieを使用するデメリット
Cookie使用によるデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 個人情報漏洩の可能性
- ウェブサイトの表示速度が遅くなる可能性
- ユーザーからの信頼を失う可能性
- 個人情報保護に関する法律に抵触する可能性
Cookieによって記録されたユーザーの閲覧履歴や検索履歴、入力した情報などが第三者に渡ることで、プライバシーが侵害される可能性があります。このような情報漏洩は悪意のある第三者や、企業のセキュリティの不備によって発生するものです。
Cookieを利用することで、ウェブサイトの表示速度が遅くなる場合もあります。とくに多くのサードパーティCookieを読み込んだり、有効期限が短いCookieを使ったりするときには、起こりやすい現象です。
企業側から見た場合、Cookieによりユーザーの行動履歴を把握することはユーザーからの信頼を失うことにもつながりかねません。また、Cookieによって記録された情報がユーザーの個人情報保護に関する法律に抵触する場合もあります。企業はCookieの使用にあたって、個人情報保護法などの法令に十分配慮すべきです。
まとめ
以上、Cookieについて解説しました。
Cookieの利用はユーザーと企業の両方にメリットがありますが、プライバシー保護の動きの強まる中で、とくにサードパーティCookieは今後も規制が進むことが予想されます。知らないうちに利用しているCookieですが、使用には一定のリスクが伴いますので注意が必要です。どの程度のCookieの利用を許容するかを判断する際に、本記事が参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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テキスト:加藤久佳 デザイン:大坂間琴美