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Webサイト制作と運用で知っておきたい法律8選

Webサイト制作と運用で知っておきたい法律8選

Webサイトには複数の法律が関わっています。これらを守って、構築・運用を行わなければなりません。

しかし、どんな法律があって、どんなところを注意すればいいかわかるでしょうか。せめて関係する法律の名前くらいは知っておきたいところです。

そこでこの記事では、Webサイトの構築・運用に関わる法律を10個ご紹介します。Webサイト全般に関わるものに加えて、とくに注意が必要な「ECサイト」と「医療・健康関連サイト」に関する法律も取り上げました。

各法律の要点をまとめて、気をつけるべきポイントがイメージできるようになっています。ぜひ最後までお読みください。

Webサイト全般において

どんなWebサイトでも関係のある法律として、「個人情報保護法」「著作権法」「商標法」「不正競争防止法」「特定電子メール法」について解説します。

1.個人情報保護法

個人情報保護法は、個人のプライバシーを守るための法律です。
この法律は、個人に関連する情報が適切に収集、処理、保管、および共有されるように規制し、権利とプライバシーを守ることを主な目的としています。

個人情報とは?

個人情報保護法では、「個人情報とは、生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報をいいます。」と定義されています。

以下、個人情報保護法に関する要点です。

個人情報の適切な取り扱い
法律は、個人情報を適切かつ慎重に扱うことを求めており、情報を不正にアクセスし、使用、共有、または流出させる行為を規制しています。個人情報を収集する際には、その目的を明示し、本人の同意を得なければなりません。

情報セキュリティ
個人情報を適切に保護するため、情報のセキュリティ対策が義務付けられています。組織は、データ侵害を防ぐための措置を講じる責任があります。

個人情報の提供と共有
個人情報保護法では、個人情報を他の組織や第三者と共有する際に、その情報の使用目的を明示し、同意を得ることが必要です。ただし、法律で認められた例外も存在します。

罰則
法律違反に対しては罰則があり、組織や個人が個人情報を不適切に扱った場合、罰金や法的措置が課せられることがあります。

参考

Webサイトにプライバシーポリシーは必要?

Webサイトを見ると、フッターあたりにプライバシーポリシーがよく掲載されています。
個人情報を取り扱う事業者は、個人情報保護法を守らなければなりません。法律に則って、訪問者の個人情報を収集、使用、共有、および保護することをプライバシーポリシーで表明しているのです。

例えば、お問い合わせフォームを設置すると、個人であっても個人情報取扱事業者となります。したがって、ほとんどのサイトが個人情報取扱事業者に該当すると考えていいでしょう。

作成する義務はありませんが、サイトに掲載することで訪問者に透明性と選択肢を提供することができるので、プライバシーポリシーは基本的に作成するのがおすすめです。

プライバシーポリシーの要点を以下にまとめます。

  • 個人情報の収集・・・Webサイトがどの種類の情報を収集するか。名前、メールアドレス、住所、IPアドレス、クッキーなど。
  • 情報の使用目的・・・収集された情報がどのように使用されるか。ニュースレターの送信、注文の処理、カスタマーサポートの提供など。
  • 情報の共有・・・情報が第三者と共有される場合や、法的要求に従う場合など、情報がどのように共有されるか。
  • Cookieとトラッキング・・・Cookieやトラッキング技術を使用する場合、その情報がどのように収集および利用されるか。訪問者にCookieの設定を管理する方法も案内。
  • セキュリティ対策・・・個人情報のセキュリティに関する取り組みについて。データの暗号化、アクセス制御、セキュリティ監視など。
  • 個人情報へのアクセス権・・・訪問者に対して、収集された個人情報にアクセスし、それを訂正または削除する権利があることを通知。
  • 変更通知・・・プライバシーポリシーが変更された場合、訪問者に対して通知する方法を説明。

2.著作権法

著作権法は、著作物を他の人が無断で使用したりコピーしたりすることを制限する法律です。本や音楽、映像などの創作物を作った人に「これは私のものだ」と言う権利を与えています。

著作権法で規定しているのは、主に以下の内容です。

著作者の権利保護
著作者(作家、画家、音楽家など)が自分の作品について、他の人が無断でコピーしたり販売したりすることを制限します。

利用の制約
他の人が著作物を使用する場合、著作者から許可を受けるか、法的な方法で使用しなければなりません。たとえば、本を出版するには著者からの許可が必要です。

一定期間の保護
著作権が保護されるのは「一定期間だけ」です。その後は一般の使用のため解放されます。日本の場合、保護期間は著作者の死後70年です。

参考

フリー素材は使っても大丈夫?

画像や音楽などのフリー素材は、著作者が著作権を放棄、あるいは行使しないと宣言しているケースに当たります。保護期間が終わったわけではないため、著作権自体は存続しているのです。

したがって、使えるけれど無条件で使えるわけではありません。個人的に使うのはいいけれど商用利用は禁止だったり、改変が禁止されていたりすることもあるので、利用する際には必ず「利用条件」をチェックしましょう。

著作物を使用する場合は?

著作物でも、著作権法に違反せず使うことは可能です。適切なやり方で「引用」すればいいのです。他のサイトから画像やテキストを引用する場合には、URLなどで出典を明らかにしておきます。

ポイントは、ただのコピーにならないようにすること。あちらが本家でこちらはコンテンツをお借りしている立場であることが明示されれば問題ありません。

3.商標法

商標法は、商標に関する法律です。商標は、製品やサービスを識別し、他と区別するための記号、ロゴ、名称、またはデザインなどの特定のマークや記号のことを指します。商標法は、これらの商標に関する権利と規則を定めています。

商標法の主な目的と規定は以下のとおりです。

商標の保護
特定の商標が他の人によって無断で使用されないように保護します。これにより、企業や製品の識別が容易になり、消費者は信頼性のある商品やサービスを識別できます。

商標の登録
商標法は、商標を登録するための手続きを提供します。商標を登録することで、その商標の所有者は法的に保護され、他の人による不正競争を防ぐことができます。

商標権の保持
商標登録者は、一定の期間(通常10年ごとに更新)商標を所有し続ける権利を持ちます。これにより、商標を使用し続けることができ、他人が商標を使用する際に許可を得る交渉力を持つのです。

消費者保護
商標法は、偽装品や模倣品から消費者を保護するために役立ちます。正規の商標は品質と信頼性の保証であるため、偽の商標を使用することは不正行為と見なされます。

参考

意外と起こる商標権侵害

まったく意図していなくても、商標権侵害は起こります。過去には、「かに道楽」と「かに将軍」とが巨大かに看板を巡って裁判になった事例や、福岡市の長浜地区において、老舗人気店「元祖ラーメン長浜屋」が近隣の同業者を訴えた事例がありました。

商標登録されていると知らずに侵害してしまった場合でも、原則として侵害者の過失が推定され、侵害者は損害賠償の責任を負うことになります。

4.不正競争防止法

不正競争防止法は、企業や事業者による不正な競争行為を防ぐための法律です。企業の不正行為に対抗するのと同時に、消費者や他の競合企業を保護することを主な目的としています。

不正競争防止法の主な要点は以下のとおりです。

不正競争行為の防止
企業が虚偽の宣伝、不正な広告、商品の模倣、機密情報の盗用などの不正な競争行為を行わないように規制します。

消費者保護
消費者を虚偽の広告や詐欺から保護し、消費者が適切な情報を持って意思決定を行えるようにします。

他の事業者への保護
ビジネス機密や顧客リストの盗用など、不正な手法で市場における競争を妨げることを禁止し、他の事業者を保護します。

機密情報の保護
企業の機密情報や営業秘密が漏れないように保護します。他の事業者や個人が不正にこれらの情報を取得または使用することを禁止しています。

不正競争行為に対する制裁
不正競争防止法に違反した企業や個人には罰金や損害賠償などの法的制裁が課せられることがあります。

参考

Webサイトで起こり得る不正競争防止法違反

Webサイト上では、以下のようなことが不正競争防止法違反にあたります。

  • 商品やサービスについて誤解を招くような宣伝または情報提供をすること
  • ロゴや商品などで、競合他社と混乱するような見た目を持つこと
  • 虚偽の主張や中傷により、他社の評判を落とそうとすること

違反すると、懲役または罰金が課せられます。

5.特定電子メール法

特定電子メール法は、スパムメールや迷惑メールなどの不要な電子メールの送信を規制する法律です。電子メールを送信する事業者に対して一定の規制を設けることで、消費者のプライバシーや利便性を保護します

以下は、特定電子メール法の主な要点です。

オプトイン
特定の広告や宣伝のために電子メールを送信する事業者は、事前に受信者からの許可を取得しなければなりません。これを「オプトイン」といいます。

オプトアウト
メールを受け取ることを希望しない場合、受信者が簡単に登録を解除できる「オプトアウト」の手段を提供することも求められます。配信停止の申し出があったら、即座に停止できるようにします。

送信者の表示義務
電子メールには送信者の身元が識別できる名称のほか、オプトアウトができる旨、問合せを受け付けている連絡先の情報を含める必要があります。

参考

オプトインがなくても送信できる場合がある

じつは取引関係にある人には同意がなくてもメールが送信できます。名刺交換などで得た送信先の情報が使えるということです。

ただし、メールの内容が広告宣伝目的であることは明確に伝えなければなりません。相手に不快感を与えないようにする配慮が求められます。

ECサイト

ECサイトは商品やサービスの売買があるので、「特定商取引法」「景品表示法」が関係します。

6.特定商取引法

特定商取引法は、主に消費者と事業者の間で行われる特定の商取引に関する法律です。この法律は、日本などいくつかの国で採用されており、消費者の権利を保護し、取引に関する情報の公正な提供を促進することを目的としています。

インターネットによる通信販売は「特定商取引」に該当するため、ECサイトなどでインターネットビジネスを行う際にはこの法律を守らなければなりません。

以下は、特定商取引法の主な内容です。

重要な情報の提供
特定商取引法は、事業者が消費者に対して提供する情報に関する規定を設けています。事業者が提供するのは、商品やサービスの価格、品質、数量、配送期間、キャンセルポリシーなどの情報です。消費者に対して十分な情報を提供することは、適切な選択を支援し、誤解や不当な取引を防ぐ役割を果たします。

契約の解除権
特定商取引法は、一部の特定の契約に関して、消費者に対する契約の解除権を提供しています。これにより、消費者は一定の期間内に契約を解消できる場合があります。

クーリングオフ期間
特定商取引法は、一部の契約に対してクーリングオフ期間を設けています。これは契約締結後、消費者が一定の期間内に契約を解除できる権利です。主にドアツードアの販売やテレビ通販などの一定の取引に適用されます。

なお、ネット通販にクーリングオフはありませんが、似た制度はあります。特約で決めない限り、購入から8日以内なら購入者の送料負担で返品が可能です。

不当な取引行為の禁止
特定商取引法は、消費者に対する不公平または欺瞞的な取引行為を禁止します。これには、虚偽の広告、価格の明示的でない説明、不正な営業手法などが含まれます。

情報開示
特定商取引法に基づき、事業者は消費者に対して特定の情報を提供する責任を負います。これには、販売業者の名称、連絡先、クーリングオフの期間などが含まれます。

参考

返品特約の使い方

ネット通販業を行う上で「返品特約」はとても重要です。返品を認めるかどうか、あるいは返品の条件、方法を定めることができます。

例えば、「返品を不可としたい」「返品は商品到着から◯日以内」などのルールは、サイトの返品特約で明示しなければなりません。
返品特約をつけないと、購入者は「商品受け取り後8日間、送料自己負担にて返品可能」となります。

7.景品表示法

景品表示法は、商品やサービスの広告や販売に関する法律です。広告や商品に対する消費者の誤解や欺瞞を防ぎ、公平で正確な情報提供を促進します。

以下は、景品表示法の主要な内容です。

広告の正確性
商品やサービスに関する広告は、正確で誤解を招かないようにしなければなりません。誇大広告、虚偽の主張、誤解を招く表示など、消費者を欺く広告は法律で禁止されています。

価格表示
商品の価格表示に関して、景品表示法は一貫性と透明性を要求します。価格に税金、送料、手数料などの追加費用があれば明示し、セールや割引価格も一定の規制にしたがって表示します。

景品表示とプレゼント
消費者に景品やプレゼントを提供する場合、その条件や制約を明示しなければなりません。条件とは「1000円以上ご購入の方全員に」といったものです。

景品表示法は、くじやくじ引きの規制にも適用されます。くじの場合は「当たりが出たらもう1つプレゼント」などが条件にあたります。

特定商法と連動
景品表示法は、特定商取引法と連動して運用されます。特定商法と同様に、消費者の権利を保護し、不公平な取引行為を防ぐ役割を果たします。

参考

景品表示法とステルスマーケティング

ステルスマーケティングとは、本当は広告なのに、広告であることを隠して宣伝することです。

ステルスマーケティングは消費者にとってわかりにくい表示であり、景品表示法の不当表示に相当します。
「広告」「PR」「プロモーション」などの文言や、「A社から商品の提供を受けてレビューします」のような説明により、広告であることを明示することが必要です。

広告であるとわかれば、消費者は表示内容を見て適切な判断がしやすくなります。

医療・健康関連のサイト

医療・健康関連のサイト内は景品表示法も関係しますが、ここでは主に「薬機法」を見ていきます。また関わりの深い「健康増進法」「食品表示法」にも触れます。

8.薬機法

薬機法は、医薬品、医療機器、化粧品などの品質・安全性の確保、規制、監督を目的とした法律ですが、広告表現についても定めています。医薬品や化粧品を扱う事業者は薬機法についての知識が必要です。

医薬品も化粧品も人体に直接触れるものであり、副作用などで重大な影響を及ぼすこともあるため、薬機法では広告表現を厳しく制限しています。

広告表示について薬機法でポイントになるのは、「誇大広告」と「お墨付き」「承認の有無」です。

誇大広告の禁止

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

お墨付きの禁止

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

認証前の広告の禁止

第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない(一部割愛)。

規制内容は細かく決められているため、法律や当局が作成したガイドラインをその都度確認するのがおすすめです。

確認が難しい場合は、薬機法チェックサービスを利用するといいでしょう。無料から有料のものまであるようです。無料のものを以下に挙げておきます。

健康増進法と食品表示法

薬機法に近い分野の法律として健康増進法と食品表示法にも軽く触れておきます。

健康増進法は、健康食品を扱う場合に適用されます。景品表示法と重なる部分もありますが、基本は誇大広告に注意することです。
表現の制限などは「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」をご覧ください。

食品表示法では、消費者等に販売されるすべての食品について、「名称」「原産地」などの食品表示が義務付けられています。食品表示法上要求される記載事項を明示しているかがポイントです。
詳しくは「早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け)」をご覧ください。

参考

違反するとどうなる?

以上の法律に違反した場合、どうなるのかを解説します。大きく分けて、「刑事罰」「行政上納責任」「民事上の責任」「社会的信頼の失墜」があります。

刑事罰

違反すると、懲役もしくは罰金が課せられます。
例えば商標権を侵害すると、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処されることがあり、刑事責任の追求も視野に入ってきます。また、懲役と罰金は両方を科されることもあります。

行政上の責任

違反すると課徴金が課せられたり、許認可の取り消し、違反事実の公表などをされたりしますが、これらは刑罰ではありません。

例えば、景品表示法では、事業者が不当表示をする行為をした場合、消費者庁が課徴金の納付を命じる場合があります(課徴金納付命令)。

民事上の責任

民事上の責任とは、一般に被害者に対する民事上の損害賠償責任のことです。著作権を侵害した場合は、損害賠償請求や不当利益返還請求などが行われます。

社会的信頼の失墜

違反の事実が広く知られることによって、社会的な信頼を失います。新規はもちろん、既存顧客も離れていき、大きな打撃になるでしょう。もとの信頼を取り戻すには、長い時間がかかります。

まとめ

以上、日本のWebサイト構築・運用で知っておきたい法律についてでした。
法律を知らなかったとしても、違反すれば責任を問われます。関係する法律にはどんなものがあるかを知り、あいまいなところは調べた上で、安全なWebサイトの運用を心がけましょう。

クーシーブログ編集部

この記事を書いた人

クーシーブログ編集部

1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。

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