企業ブランディングの重要性と基本戦略─コーポレートサイト制作を事例に解説!
企業ブランディングとは、一貫性と独自性のあるコンセプトを確立し、差別化されたイメージを広める施策です。卓越したブランディングを行う企業として世界的に知られるのがAppleです。
Appleは、ユーザーの直感的な感性に訴えるシンプルなデザインを一貫して世に送り出し、新製品やOSのアップデートを毎年開催されるイベントで発表し、さらにはオフライン・オンラインのApple Storeでの高いレベルのサービスなど、どれも「Appleならでは」の独自の価値を提供してきました。結果、Appleはグローバル展開する企業のブランド調査で11年連続で首位を獲得しています(参考:世界ブランド価値、Appleが11年連続首位 米社調査)。
特に日本でiPhoneはスマートフォン黎明期から現在まで断トツの利用者数を獲得しており、スマートフォンといえばiPhoneを思い浮かべる人も多いかと思います。ブランディングに期待される効果としては認知の拡大にありますが、企業の施策としてはAppleのようにさまざまなステークホルダーとのコミュニケーションをマネジメントすることにあると言えます。
企業ブランディングの重要性
製品・サービス・店舗・イベントなど、ユーザーとのありとあらゆるコミュニケーションによってブランドイメージは作り上げられます。独自の付加価値を持ち、ユーザーからの共感と信頼を得て、競合他社と差別化する。これがブランディングです。
Appleのような大企業に限らず、SNS社会において企業がさまざまなステークホルダー(顧客、投資家、社員)と接点を持つ機会がますます増えてきました。いまや誰しもが情報発信の担い手でもあります。同じような情報やサービスも数多く並ぶ状況です。
そのため、企業のイメージを広め、独自のメッセージや価値を一貫して届ける企業ブランディングは重要な取り組みとして注目されてきました。企業のブランドを作り上げるには、社外に向けた発信だけではなく、それを担う社内のマネジメントも不可欠です。企業とステークホルダー間のコミュニケーションをマネジメントする企業ブランディングの特徴を鑑みると、企業の将来を担うマッチ度が高い人材の採用がより重要になってきました。
採用市場における競争の激化
優秀な人材の確保と人材流出を防ぐ施策としても企業ブランディングが注目されています。採用市場が活発化し、人材の流動性が高まる昨今、企業独自の魅力を発信する必要性が強まってきました。その背景にあるのが、少子高齢化による労働生産人口の減少や多様化するキャリアパスによる転職者の増加です(下図を参照)。
加えて、厚生労働省によると、有効求人倍率はコロナ禍で一時的な減少はあれど、その後は「1」以上を保っています(参考:
- 将来的な労働生産人口の減少
- キャリアパスの多様化
- コロナ禍におけるリモートワークの推奨
- ワークライフバランスの重視など就労環境の変化
- 物価高に伴う賃上げ
まとめると、情報が溢れる中、企業やその製品・サービスの独自の価値を広める企業ブランディングが重視され、さらに働き手の減少と流動性が高まる中、企業とマッチした人材がより求められるようになりました。
企業ブランディングの基本戦略
では、企業ブランディングをどう取り組むといいのでしょうか。本記事では、企業ブランディング戦略で欠かせないミッションとビジョンの明確化と、企業の現状と将来性の言語化に有益なコーポレートサイト制作の意義に焦点を当てます。
企業のミッションとビジョンの明確化
企業ブランディングの基盤となるのが、企業独自のミッションとビジョンの明確化です。ミッションとビジョンの明確化というと、高等なものに聞こえるかもしれません。ですが、ここで強調したいのが企業や競合他社の現状分析です。
たとえば、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、自社のコミュニケーションで一貫しているものはなにかなど、まずはすでにあるもの、やってきたことを言語化するのがポイントです。
企業情報に関してもこうした言語化をしていきましょう。なぜその「企業名」、「ロゴ」、「キャッチコピー」、「サービス」なのか、ユーザーにどのような独自の価値を提供するのかなど、極力、「なんとなく」をなくすようにしてみてください。
さまざまに言語化された企業の現状や方針を、シンプルな企業のミッションとビジョンに落とし込みます。企業ならではの理想を掲げつつも、それを製品・サービスを通してユーザーに体感してもらうには、理想とその実現可能性の両面を一貫させる必要があります。
一貫したミッションとビジョンをサービスに落とし込むには多大な労力がかかるはずです。ですが、それこそが社内外の人々とのコミュニケーションをマネジメントする企業ブランディングの核です。そのマネジメントを一貫して行う上でも、ミッションやビジョンは重要な指針となることを心得ましょう。
Webサイト制作による企業ブランディング
骨の折れる企業ブランディングですが、自ずとそれに取り組めるのがWebサイト制作です。というのも、コーポレートサイト制作は企業の特徴や強みを言語化し、デザインに落とし込む必要があります。その過程で自然に企業のミッションとビジョンを整理することができます。
「人の第一印象は出会って数秒で決まる」と言われますが、企業の「顔」とも呼ばれるコーポレートサイトはまさに企業の第一印象を左右します。またユーザーとのダイレクトなコミュニケーションの接点だと言えるのがコーポレートサイトです。企業独自のサービスや強みを一目で存分に印象づけられるよう、強みとビジョンを明確に発信しましょう。
第一印象を特に強く左右するのがWebデザインです。ここで思い出していただきたいのが、ブランディングの基本はイメージの差別化だという点です。企業のミッションやビジョンの設定ももちろん独自性に不可欠です。ですが、ユーザーの第一印象により大きな影響を与えるのは感性にダイレクトに訴えるビジュアルデザインでしょう。
Webデザインによるブランディング事例
企業ブランディングの基本戦略は、抽象的なコンセプトをユーザーとの具体的なコミュニケーション設計に反映させることです。そこで、弊社で制作させていただいたブロードマインド株式会社のコーポレートサイト制作を事例に、コンセプトをデザインに反映させた過程を紹介します。
ブロードマインド株式会社のコーポレートサイト制作事例
ブロードマインド株式会社では、創業20周年を期に企業全体のブランディングが進められていました。その一環としてコーポレートサイト制作を担当したのがクーシーです。
まず、ブロードマインド様からはミッションやポリシーを中心に表現してほしいという要望が寄せられました。コーポレートサイトにはブロードマインド独自のメッセージを中心に表現し、サイトに訪れる個人や投資家に企業の将来性と信頼性を感じ取ってもらいたいとのことでした。
参考
目的や表現内容が明確だったとはいえ、それらを的確に表現するには慎重にWeb担当者とすり合わせるステップが欠かせません。まず、企業のキャッチコピーである「金融の力を解き放つ」というメッセージとロゴマークをどうデザインに落とし込むかをじっくり検討しました。
たとえば、「金融サービス」の具体的な内容は多くの人にとってはイメージがつきにくいものでしょう。そこでクーシーでは一般の人の目線でわかりにくい点をWeb担当者と共有し、イメージをすり合わせていきました。
打ち合わせで特に工夫したのが、企業担当者にも即座にイメージが伝わるようにベースとなるデザイン案を提示した点です。クライアント、ディレクター、デザイナーが一緒に参加することで、お互いの理解を深めました。
多くのWeb担当者にとって、社内で進行するブランディング内容に必ずしも精通しているとは限りません。そこで制作者側としては、企業からいただいた資料に記載される内容以上のニュアンスをクライアントとの対話から丁寧に汲み取ることを意識しています。
第三者の目線でクライアントの現状、将来性の発見と課題をサポートすることもまた社内のブランディングの再認識につながります。クライアントと制作者のすり合わせを経てこそ、最適なデザインを作成することができます。
現在のWebデザインは対話を重ねたからこその出来栄えとなりました。特に、ロゴマークの表現を活かし、一貫した企業のメッセージをWeb上に表現しました。ロゴで表現されているのは、金融知識により消費者の視界が開かれていく様子です。青色を基調としたコーポレートカラーでも、深みのある青から鮮やかな水色のグラデーションにて、同じく明るくなっていく未来が表現されています。信頼性や安定感を感じてもらいやすい青色をベースに、企業ロゴとキャッチコピー「金融の力を解き放つ」のメッセージを一貫して表現する、印象的なデザインが施されています。
参考
結果的に、今回のリニューアルでは企業独自の「想い」をデザインで強く印象づけ、クライアントにも好評いただく仕上がりとなりました。
ブロードマインド株式会社のコーポレートサイト制作実績|東京のWeb制作会社 株式会社クーシー
まとめ
本記事は、企業ブランディングの基本、背景、戦略をまとめました。企業ブランディングの核は、他社との差別化と自社の一貫性を確立することです。企業ブランディングを推進するためにも、企業の将来を担う人材を獲得することを目的とした施策は採用ブランディングと呼ばれます。
企業ブランディングの重要性と基本戦略─コーポレートサイト制作を事例に解説!
このほかにも、ブランディングのジャンルや方法は多岐に渡ります。ただ、本記事で紹介した差別化と一貫性を意識した企業とステークホルダーとのコミュニケーションをマネジメントする方法は、そのほかのジャンル・方法でも共通するブランディングの基本戦略です。
さまざまなブランディング戦略がある中、企業の特徴や課題を言語化し、ユーザーに直感的なイメージとして届けるWebサイト制作は効果的な施策だと言えるでしょう。
どのようにすればWebサイトで企業ブランディングが可能なのか、どのような具体的な事例があるのか、特に採用市場が活発化する中でどうすれば企業と求職者のマッチ度を高められるのか。企業ブランディングとWebサイト制作でお悩みがある方は、ぜひ弊社にお問い合わせください。
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テキスト:青山 俊之 デザイン:大坂間 琴美、佐野 由和