【図解】APIとは?メリットや連携事例をわかりやすく解説
この記事ではAPIについて解説します。
「APIってよく聞くけど、結局なんなの?」
と思っている人は、ぜひ本記事をお読みください。以下のことがわかります。
- APIとはどんなものなのか
- 利用するとどんなメリットがあるのか
- どんなところに使われているのか
身近な事例も紹介していますので、最後まで読むとAPIのイメージが明確に持てるようになります。自社でWebサイトやサービスをこれから作ろうとしている方にとっても役に立つ情報です。
ではいってみましょう。
APIとは?
APIとは「Application Programming Interface」の略称です。単語が3つありますが、まずは「インターフェイス」に着目します。
インターフェイスとは「接触面」という意味です。たとえばUSBはパソコンと外部機器をつなぐインターフェイスにあたります。
APIはアプリやサービス同士をプログラムでつなぎます。新しく開発したタスク管理アプリと既存サービスのカレンダー機能をAPIで連携させたりするのです。
Web APIとは
Web APIは、API提供者と利用者間のやりとりをWeb上で可能にしたものです。HTTP/HTTPS通信によってAPIを実現します。HTTPプロトコルでネットワークを介して呼び出すため、連携が容易です。
一方で「Webではない」APIは通常、API利用者が使っているプログラミング言語で提供されることが多く、連携が限られます。
ChatGPTのAPIが公開されたことが一時話題になりました。話題になった理由は、すでに注目を集めていたChatGPTを自分の作ったアプリケーションと連携させることが可能になったからです。APIのおかげで、一から人工知能を開発しなくても高性能なチャットボットを作ることができます。
Web APIの種類
Web APIは実装方式により、主に以下の2種類に分けられます。
REST API
REST APIとは「Representational State Transfer」の考え方により実装されたWeb APIのことです。実装しやすく汎用性が高いなどのメリットにより現在主流となっています。
「Representational State Transfer」の考え方を理解するために、単語を分解して意味を押さえます。
- Representational=具象的な
- State=状態での
- Transfer=やりとり
つまり「具体的な状態を定義した上で情報のやりとりをしましょう」という考え方です。
RESTには4つの原則があり、これを守ることでシンプルかつ効率的な情報のやりとりが可能になります。
【RESTの4原則】
-
統一インターフェイス(Uniformed Interface)
→あらかじめ定義・共有された方法で情報がやり取りされる
-
アドレス可能性(Addressability)
→すべての情報は一意なURI(識別子)で識別される
-
接続性(Connectability)
→情報にはリンクを含めることができ、別の情報に接続することができる
-
ステートレス性(Stateless)
→その都度受け取った情報だけでやりとりが完結するため、サーバーが過去の状態(ステート)を管理しなくていい
SOAP API
SOAPは「Simple Object Access Protocol」の略です。長い間標準の Webサービスアクセスプロトコルとして使用されてきました。HTTPの呼び出し(Request)と応答(Response)にXMLを用いてデータのやりとりを行います。
SOAP APIはREST APIに比べて複雑でデータ量が大きくなるため、パフォーマンスに影響を与えることがあります。最近のトレンドはREST APIに向かっており、SOAP APIは徐々に使用されなくなっていますが、信頼性とセキュリティを提供する場合などには依然有用なAPIです。
APIを使用するメリット
APIを利用すると以下のメリットがあります。
- 開発の効率化
- セキュリティの向上
- システム間の連携による利便性の向上
一つずつ見ていきます。
開発の効率化
アプリケーション同士をAPIで連携することで、たとえばオンラインストアの売上データを自社の集計システムに自動的に取り込むことができます。
開発者が新しいアプリケーションやサービスを開発する際、新たに機能を実装する必要がなくなるため、開発時間を短縮することが可能です。
セキュリティの向上
自社でアプリ開発をすべて行うなら社内に情報セキュリティについての知見が必要ですが、足りていないこともあるでしょう。その場合、Googleなどセキュリティレベルが高いと考えられる外部のAPIを使用することにより、安全面でのリスクを縮小できます。
ユーザーはアプリケーションにログインするためのパスワードを使用しなくても、APIを介して認証することができます。これによりパスワードが漏洩するリスクを減らせるのもメリットです。
システム間の連携による利便性の向上
別々のシステムをうまく組み合わせて連携させることで利便性が向上します。
勤怠システムと給与システム、カレンダーシステムと施設予約システムなど、連携したら便利なシステム同士をつなげることで業務が効率化します。人為的なミスも減り、安定したシステム運用につながるのです。
APIを活用した連携事例
ここではAPIを活用した事例として、Twitter、YouTube、AmazonのAPIをご紹介します。
Twitter API
Web サイト版の Twitter の機能を借りることができる API です。ツイッターをスマホから利用する時アプリを使いますよね?じつはこれも Twitter API の活用事例です。他にも以下のようなことができます。
- 特定のハッシュタグをつけて投稿されたツイートの一覧を自社サイトで表示
- タイムラインの取得
- Python などのプログラミング言語を用いて自動的にツイートする bot が作れる
- ツイートの検索
フォロー/フォロー解除の自動操作も API で可能ですが、Twitter はアカウントの完全自動化を認めていません。あくまで補助的な利用にとどめましょう。
YouTube API
YouTube APIでできるのは以下の3つです。
- 動画タイトル、再生数などの情報が取得できる(YouTube Data API)
- YouTube の動画の分析結果を取得できる(YouTube Analytics and Reporting APIs)
- 動画を YouTube の再生プレイヤーで再生できる(YouTube Player API)
よくホームページに YouTube 動画が埋め込まれていますよね。あれは「YouTube Player API」を利用しています。これにより自社の Web サイト上で独自に動画再生プレーヤーを用意しなくても、 YouTube 動画を見てもらうことが可能になるのです。
Amazon API
Amazonには出品者向けのAPIとして、MWS(Marketplace Web Service)APIがあります。
MWS APIでできることは以下のとおり。
- 商品情報の登録・更新などの一括処理(Feeds API)
- 販売した商品の注文レポートファイルの取得(Reports API)
- 販売した商品の支払い情報の取得(Finances API)
- 商品情報の検索、最安値などの情報を取得(Products API)
Amazon API を利用すれば、Amazonの商品情報をリアルタイムで取得して EC サイトを作ることも可能です。Amazon内での他社の動向や商品の価格変動も知ることができます。
APIを使う際の注意点
API を使う際には、提供元企業に依存していることを認識しましょう。
- 提供元の企業がサービスを停止した
- 提供元の企業でサーバーに障害が発生した
このような状態について自社では手の施しようがありません。対応の可否、ひいてはサービスの存続に至るまで先方次第となります。
このようなリスクがあるとしても、API 連携をする方がメリットが大きいケースも多いです。リスクを念頭に置きつつ連携するサービスを検討しましょう。
非エンジニアのAPI利用はおすすめしない理由
ここまで記事を読んで「API 連携をやってみよう!」と思ったかもしれませんが、あなたが非エンジニアだったら、以下の理由によりハードルは高めです。
APIの理解に専門知識が必要
APIは、プログラム間でデータをやり取りするための仕組みです。そのためプログラミングやシステムに関する専門的な知識が必要となります。
エラーが起きた場合の対処が難しい
エラーが起きた場合の対処も困難です。エラーに対処するためには専門知識と経験が必要ですが、非エンジニアにはどちらも欠けています。専門のエンジニアのサポートなしで解決するのは非常に難しいと考えてください。
セキュリティ上のリスクがある
APIを利用する際には、セキュリティ上のリスクを踏まえて適切な対応が必要です。十分な対策を講じることができなければ、重大な事故につながる可能性があります。なんとなくわかる程度で扱うのはやめましょう。
「ちょっと厳しそうだな」と思ったら、知見のある社内エンジニアか外部の業者に委託してください。
まとめ
以上、APIについて活用するメリットを事例とともに解説しました。
APIを活用することで、ユーザーにとっても開発者にとってもメリットが大きい開発ができるかもしれません。自社でWebサービスを企画する際には、既存のアプリやサービスの機能が使えないか検討してみてはいかがでしょう。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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テキスト:加藤久佳 デザイン:小林沙綾