【初心者向け】リスティング広告のプロが教える!キーワードの考え方・選び方
リスティング広告で高い効果をあげるためには、キーワードの選び方がポイント。キーワードの種類や特性によって、売上やコンバージョンにつながるキーワードもそうでないキーワードもあります。
本記事では、キーワードの性質とリスティング広告の設定についてポイントを解説します。リスティング広告のキーワードプランニングの考え方を理解できれば、効果のあるキーワードを選定できるようになり、コンバージョンの拡大を簡単に実現できるようになるでしょう。以下の5つの内容をお届けするので、参考にしてください。
- キーワードと検索語句の違い
- キーワードのマッチタイプ
- キーワードに込められた目的や意図
- カスタマージャーニーとアクションまでの距離
- 予算とキーワードの選び方
リスティング広告のキーワードとは
リスティング広告では、キーワードは広告配信を設定するために使う単語の組み合わせを指します。キーワードは、実際に広告配信される単語とは異なります。広告運用をしたことがない人には馴染みがないのでわかりにくい概念でしょう。
実際に広告配信された単語は、「検索語句」と呼びます。
たとえば、キーワードを「ヨガ ウェア」で設定した場合、配信される広告の検索語句は以下のようになります。
- ヨガ ウェア 格安
- ウェア ヨガ 品質
- ヨガウェア おすすめ
- ヨガ ウェア ブランド
上記のように、実際に広告配信される検索語句は、設定したキーワードだけでなく、ほかの単語も組み合わされることがあります。
広告効果を上げるためには、どのような検索語句に広告配信されるか、範囲やワードをコントロールすることが重要なのです。
検索語句のコントロールを決めるキーワード設定方法
検索キーワードの設定方法は、現在3種類ありましてキーワード・マッチタイプといいます。
キーワード・マッチタイプは、広告配信時にどのくらい検索語句と一致させるか範囲を設定するものです。3種類のマッチタイプについて紹介します。
完全一致
完全一致タイプは、設定したキーワードとまったく同じ意味・意図の検索語句が、広告配信の対象となります。
完全一致は、3種類のマッチタイプの中では、もっとも絞り込んだ設定です。
たとえば「ヨガウェア」を完全一致キーワードとして設定した場合、広告表示される検索語句の例は以下。
- ヨガウェア
- ヨガ ウェア
- ウェア ヨガ
- ヨガ 服
逆に広告表示されない検索語句の例は以下。
- ヨガ レギンス
- ホットヨガ
- GUヨガウェア
意図と違う単語が入っている検索語句では、広告は表示されません。
コンバージョン率が高い検索語句がわかっている場合は、完全一致キーワードを設定することで、コンバージョンを増やしやすい広告配信ができますね。
もっとも狙いが定まった広告配信となるため、入札等の細かなコントロールをする場合に有効でしょう。
フレーズ一致
フレーズ一致は、設定したキーワードと同じ意味・内容を含む検索語句で検索された場合に広告を表示します。設定キーワードよりも具体的な単語を含む検索語句も対象となるのです。
3種類のマッチタイプの中では、フレーズ一致は完全一致よりは広い範囲、部分一致よりは狭い範囲の検索語句が対象で、中程度の絞り込みと捉えられます。
たとえば「ヨガウェア」をフレーズ一致キーワードとして設定した場合、広告表示される検索語句の例は以下。
- ヨガウェア セール
- ヨガウェア 黒
- 着やすいヨガウェア
広告表示されない検索語句の例は以下。
- ヨガウェア ヨガ教室
- ヨガ メンズ 服装
- 黒いヨガウェア レディース
部分一致
部分一致は、設定したキーワードに関連する内容を含む検索語句が広告の表示対象です。3種類のマッチタイプの中では、もっとも広い範囲の指定方法。
関連した検索語句で広告表示されるため、設定キーワードとは少し離れた意図の検索語句でも広告が表示されます。
時折、ほぼ無関係な意図の検索語句で広告が配信されているケースもあるため、広告運用ではコントロールがほかのタイプよりも必要です。コンバージョンが取れるキーワードのみに配信したい広告主には、ムダな広告配信が増えるため、部分一致タイプは扱いづらいマッチタイプになる可能性がありますね。
たとえば「ヨガウェア」を部分一致キーワードとして設定した場合、広告表示される検索語句の例は以下。
- ピラティス ウェア
- ヨガレギンス
- ヨガウェア 人気
部分一致のマッチタイプでは、広告表示の精度のためにGoogleは以下の情報を考慮していると説明しています。
・ユーザーの最近の検索内容
・ランディング ページのコンテンツ
・広告グループ内の他のキーワード(キーワードの意図を詳しく把握するため)
マッチタイプの使い分けがCPA/CV改善のポイント
広告の成果が上がるためには、マッチタイプを使い分けることがポイントの1つです。幅広いキーワード設定だけ使っているとムダな広告配信が増え、CPAが悪化します。ムダなく効率的に広告配信するためにはマッチタイプを必要に応じて使い分けることが改善の第一歩です。
どのようにマッチタイプを使い分けるかの前に、検索キーワードの性質を分類しましょう。
ユーザーの意図により異なる検索キーワードのタイプ
普段、ぼくらが検索ボックスに入力しているキーワードは、大きく4つの種類に分けられます。
検索するキーワードによって、ユーザーが意図していることが異なります。たとえば、「ヨガ 種類」で検索する人は「ヨガにどんな種類があるのか”知りたい”」ことが検索の目的・意図でしょう。”知る”ことを目的とした検索キーワードは、Knowクエリといいます。
キーワードの4タイプをまとめると以下です。
種類 | 意味 | 検索キーワード例 |
---|---|---|
Knowクエリ | 検索キーワードについての情報を知りたい | ヨガ やり方 ホットヨガとは |
Goクエリ | 検索キーワードの場所や特定のサイトに行きたい | 渋谷 ヨガ ヨガスタジオ |
Buyクエリ | 商品やサービスを買いたい・購入したい | ヨガマット 通販 ヨガウェア 口コミ |
Doクエリ | ダウロードしたい・予約したい等のアクションに結びつく検索語句 | ヨガスタジオ 予約 |
シーンや目的によって4タイプのキーワードが検索されるタイミングは異なります。どのキーワードを選ぶといいか考えるときに役立つのがカスタマージャーニーマップ。
カスタマージャーニーでアクションまでの距離を考える
カスタマージャーニーマップは、ペルソナとなるユーザーの行動や思考、感情を時系列に視覚化したものです。
時系列でカスタマージャーニーを捉えることで、顧客とのタッチポイントや一連のユーザー体験を最適化できます。
リスティング広告では、時系列でユーザーの検索行動を考えることで、どんな検索キーワードがいいかキーワードプランニングのヒントになるでしょう。また、特定のキーワードを検索するユーザーのインサイトを理解するためにも役立ちます。
カスタマージャーニーマップでは、ユーザーの一連のプロセスをいくつかのステージに分けます。各ステージでユーザーはどんな行動をするか、何を考えているか、などをマッピングしていきます。
各ステージでユーザーが”検索する”プロセスを行う場合があります。このときがGoogleやYahooを使うユーザーとのタッチポイントです。
各ステージのユーザーが、どんなキーワードで検索するか、どんな目的や意図で検索するか、を想像することがポイント。
多くの広告主は、リスティング広告に購入や予約など何かしらのアクション(=コンバージョン)の成果を求めます。カスタマージャーニーマップでは、アクションは右奥の後ろ側にあるステージに位置するでしょう。
検索されるキーワードの各ステージと、アクションのステージの距離を確認してみてください。
ステージ間の距離が遠いキーワードは、アクションからも遠くコンバージョン率が低い傾向です。当然、アクションに近いステージのキーワードはコンバージョン率が高めとなるでしょう。
たとえば、ヨガをはじめようと考えている人のカスタマージャーニーマップは以下のようなイメージです。
「ホットヨガとは」
「ホットヨガとは」は、手前の情報収集ステージで検索されるキーワードでしょう。「ホットヨガはどんなことをするヨガなのか?」などKnowクエリに該当します。Knowクエリは比較検討が進む前のステージに多いので、購入や予約のアクションからは遠いです。
そのため、「ホットヨガとは」で検索するユーザーに広告配信しても、コンバージョン率は低くなりやすいです。
「ヨガウェア ブランド おすすめ」
「ヨガウェア ブランド おすすめ」は、比較検討ステージで検索されるキーワードですね。通いたいヨガスタジオがある程度きまって、ウェアを探すタイミングかもしれません。新しく始めることだから気持ちも上がっていることがイメージできます。
このキーワードで検索するユーザーは、ヨガウェアのブランドをあまり知らないため、以下のようなことを意図しているでしょう。
- どんなブランドがあるか探したい
- どのブランドがいいか知りたい
- 購入するヨガウェアを検討したい
上記のように商品を探し始めて、検討のステージで検索されるキーワードは、購入などのアクションに近いといえます。
そのため、リスティング広告のコンバージョン率は高い傾向になります。
キーワードの感覚値
例で挙げたキーワードのようにどのステージで検索されるキーワードか、ステージ間の距離を捉えることがポイントです。
カスタマージャーニーのどこで検索されるキーワードか捉えることは、キーワードプランニングで重要な感覚値です。
- 各ステージで検索されるキーワードをイメージできること
- アクションとの距離をイメージできること
キーワードには複数の意図が含まれることに注意
キーワードを考えるときに1つのキーワードには複数の意図があることを注意したい。
キーワードは1つでも、検索するユーザーは多数います。同じキーワードでも、検索ユーザーによって解決したい目的や意図は異なるのです。
たとえば、「ヨガウェア」の検索キーワードには以下のような意図が複数あるでしょう。
- ヨガウェアの種類を知りたい
- いいデザインのヨガウェアを探したい
- 高品質のヨガウェアがあるか調べたい
- ヨガウェアのECサイトにアクセスしたい
- ヨガウェアのランキングを見たい
上記のように検索ユーザーが意図している内容は複数存在しています。必ずしも1キーワードが1箇所のステージだけに当てはまるとは限りません。自信をもって広告配信したキーワードが、意図違いで高いCPAになってしまうことは回避したいですよね。
特定のキーワードに含まれる複数の意図のうち、どの意図がシェアが大きいかをイメージすることがポイント。
意図のシェアによりコンバージョン率も左右します。アクションに近いステージの意図のシェアが大きい場合は、コンバージョン率が高くなる傾向でしょう。逆にアクションから遠いステージの意図が大きなシェアの場合、コンバージョン率は低くなるでしょう。
予算で決める2パターンのキーワードプランニング
キーワードの選び方は予算のかけ方で大きく方針が変わります。すべてのキーワードで広告配信しても、予算が少なければキーワードごとのクリック数が少なく、どのキーワードがコンバージョンするか検証できません。
リスティング広告の目的がアクションを増やす場合、大きく分けて2つの方針があります。
1. 予算をかけて対象キーワードすべてを検証する
初月から多くの予算投下により多くのキーワードで広告配信する案。多くのキーワードの効果検証を早いペースで行い、最適なキーワードを選び抜く先行型のプランニングです。
メリット
- 短期間で、多くのキーワードの効果検証ができる
デメリット
- 効果が低いキーワードへの広告配信も一定行われるため、費用対効果は一時的に悪くなりやすい
2. 予算を最小限に抑えて、アクションに近いキーワードのみ広告配信する
コンバージョン率が高いだろうキーワードに絞って予算を抑えた広告配信をする案。少ないキーワードで比較的長めの期間で効果検証し、予算内で費用対効果を最適化します。最適化後に、予算追加や予算の余裕をもたせて、次の候補キーワードを効果検証して、費用対効果が合うキーワードを増やしていく後攻型。
予算が決まっている企業が多いので、比較的こちらのプランニングが多いですね。
メリット
- 最初からコンバージョンが発生しやすい低CPAのキーワードのみを狙うため、初回配信から費用対効果が一定ある
デメリット
- コンバージョン率が高いだろうキーワードのみに絞るため、その他のキーワードの効果を検証できない
- コンバージョンが発生する可能性がある他のキーワードを試せないため、最適なキーワード、広告配信バランスにするためには時間がかかる
予算とデータ量の関係性
予算(コスト)は、貯められるデータ量(表示回数・クリック・コンバージョンなど)と比例します。コストを増やすほど、データ量が多くなる関係ですね。
最初に予算を多くかけるのは、早く多くのデータ量を集められること。
リスティング効果のCPA改善やコンバージョン数の最大化を行うためには、どのキーワード、どのターゲットでコンバージョンが多く発生しているか、コンバージョン率が高いか事実が判明していないと改善できません。
あるキーワードに1件のコンバージョンが発生したとしても、1件では偶然なのか必然なのかわかりません。コンバージョン率の精度が低いとも言えます。各キーワードに少なくとも数件以上のコンバージョンが発生しないと、それらのキーワードの良し悪しがデータで判断しにくいのです。
そのため、データ量が多いほど、早くに広告データの分析ができ、広告効果を改善するための運用が可能になります。逆にデータ量が少ないと、データを貯めるまでの期間がかかり、広告効果の改善やコンバージョン数を最大化することは長期間を要します。
事業として、どの時間軸、どのくらい投資範囲で成長させるかによって、上記のキーワードプランニングを判断するといいでしょう。
キーワードマッチタイプの使い分け
完全一致タイプは設定したキーワードと同じ意味・内容なので、コンバージョン率が高い、もしくはコンバージョン数が多く発生するキーワードに対して使用すると、効率的に運用できますね。完全一致タイプを使えば、キーワード毎に細かく入札単価を調整でき、最適なCPAに改善しやすくなるでしょう。
対して、部分一致タイプは設定したキーワードに関連する内容を含む検索語句が対象です。設定したキーワードとは意図がズレている検索語句でも広告が表示されるケースもあります。
そのため、上記2の予算を絞ったプランニングを行う場合、部分一致タイプを使うと、ムダな広告表示が増え、費用対効果が合いにくいケースが出てきます。多種多様なキーワードに広げるときには、部分一致は有効ですが、予算を絞るときには逆効果になることもあるので注意しましょう。
部分一致タイプは、上記1の予算を多くかける場合には使いやすいでしょう。コンバージョンが発生しやすいキーワードを発見することに役立ちます。
上記2の予算を絞る場合には、フレーズ一致タイプを使用するとバランスがいいでしょう。フレーズ一致タイプは設定したキーワードと同じ意味・内容の検索語句で広告表示されるため、意図のズレが部分一致タイプより小さく、狙った検索意図に比較的ムダなく広告表示できます。
予算を絞る場合にも部分一致タイプが有効なタイミングはあります。フレーズ一致タイプの広告配信が最適化できたあとに、次のコンバージョンが発生するキーワードを探すときに部分一致タイプが活用しやすいでしょう。
おわりに
リスティング広告のキーワード選びは、検索ユーザーとのタッチポイントのタイミングをはかることにも近いです。キーワードに込められた意図や目的をイメージすることで、最適なタイミングでユーザーと接点を持つことができるのがリスティング広告の長所でもあります。
とはいえ、使用するタイミングやケースは選ぶべきです。どんな時に使うべきか、予算の考え方などはこちらの記事をご覧ください。リスティング広告を適切に使って高い効果を上げましょう。
リスティング広告とは?仕組みや運用方法、始め方まで徹底解説!
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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長谷川