【CMS】Movable Typeとは?WordPressと比較
この記事では国内で多くの支持を集めているCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)であるMovable Type(ムーバブルタイプ)について特徴を解説します。
「Movable Typeが自社に合うCMSかどうか判断したい」
「WordPressを比べて導入を検討したい」
という方はぜひ読んでみてください。
この記事を読めば、Movable Typeがなぜ企業や組織に支持されているのかがわかります。あなたの会社で求める条件を満たすCMSかどうか考える際の参考にどうぞ。
Movable Typeとは
アメリカのSix Apart Ltd.社が2001年に開発リリースしたCMSです。現在は日本法人が開発販売を行っています。HTML・CSSを知らなくても手軽に記事コンテンツやサイト制作が可能です。
世界シェアでは60%ほどを占めるWordPressに大きく引き離されていますが、国内では商用パッケージ型CMSの導入でシェア第1位となっており、大企業や官公庁、教育機関などから幅広い支持を得ています。
クーシーでは「Times Club」様のサイトをMovableTypeで制作いたしました。サイトの更新頻度を考慮して採用しています。
Web運用担当の方のご要望に合わせてカスタマイズも行いました。
Movable TypeとWordPressの違い
「サポート」「セキュリティ」「ライセンス費用」「カスタマイズの自由度」でWordPressと比較してみます。
Movable Type | WordPress | |
---|---|---|
サポート | あり | なし |
セキュリティ | ◎ | △ |
ライセンス費用 | 有料 | 無料 |
カスタマイズの自由度 | △ | ◎ |
Movable Typeはシックスアパート社から日本語でサポートが受けられます。これに対してWordPressにサポートはなく、問題が起こったら検索して自己解決するのが基本です。
有償ライセンスをもったユーザーしか使用できないMovable Typeは、システムやソースの機密性が高くセキュリティ面でも安心感があります。その代わりライセンス費用の負担は発生しますので、無料で使えるWordPressに比べると導入ハードルは高いと言えるでしょう。
またカスタマイズの自由度もWordPressに分があります。WordPressはネット上に情報が多く、プラグインも豊富です。自分で調べれば比較的簡単にカスタマイズできます。
これに対してMovable Typeは情報が少ない上、基本的に制作は業者任せになります。カスタマイズもその都度依頼せねばなりません。技術的なことは業者に任せるとしても、やりとりの手間と費用はかかります。
総合すると、運用の安全性を重視する企業ならMovable Typeの方が合っているかもしれません。
Movable Typeを導入するメリット
Movable Typeのメリットは以下の4つです。
- メーカーサポートがある
- セキュリティに強い
- 表示スピードが速い
- 高いサイトアクセス負荷に耐えられる
メーカーサポートがある
シックス・アパート社による公式のテクニカルサポートやメンテナンスが受けられます。サイトにトラブルが起こったとき、通常業務をやりながら対応するのは難しいです。困ったら連絡するだけで解決のサポートをしてくれるのは、企業の担当者にとってありがたいのではないでしょうか。
セキュリティに強い
ソースの機密性が高く利用者が少ないため攻撃されにくいのは前述の通りですが、その他にWordPressと違うのは静的なHTMLも出力できるところです。
WordPressはサイトを表示するためにPHPで情報を読み込まなければならない「動的サイト」です。そのためサーバーに負担がかかります。PHPの脆弱性にも気を付けなければなりません。その点「静的な」HTMLも出力できるMovable Typeならそういう心配をしなくて済みます。
表示スピードが速い
あらかじめHTMLで書かれた静的ページを作れるので表示スピードが早いです。動的ページが必ずしも遅いわけではありませんが、アクセス集中などの条件により遅くなることがあります。どんな時でも閲覧ストレスがないのは、とくにユーザーの多いサイトでは大きなメリットと言えるでしょう。
高いサイトアクセス負荷に耐えられる
これも静的ページならではのメリットです。WordPressのような動的ページではユーザーのアクセスがあるたびにデータベースを参照するため、ユーザーの利用が集中すればサーバーへの負荷がかかりやすくなります。
Movable Typeは誰が見るかに関わらず同じページをHTMLで表示するので、データベースを参照しなくてよくアクセス負荷もかかりません。条件に関わらず安定して表示させることができます。
Movable Typeのデメリット
Movable Typeの主なデメリットとしては以下の3つがよく挙げられますが、実質的にはあまり影響がないものもあります。
- 導入に専門知識がいる
- ネット上に情報が少ない
- 導入や運用に費用がかかる
導入に専門知識がいる
基本的に導入や制作は専門の業者に依頼します。素人には技術的ハードルが高すぎるからです。WordPressのように情報が豊富で検索すれば問題の解決方法が見つかるわけでもありません。
企業であればサイトの構築や管理は専門の業者に任せると思うので、その前提であれば特にデメリットではないでしょう。
ネット上に情報が少ない
WordPressと比べた場合ネット上に情報が少ないこともデメリットに挙げられます。しかしシックス・アパート社のサポートがあり、専門の業者に依頼して製作するならネットで検索する必要もありません。「すべて自社でやるなら」という条件付きのデメリットかと思います。
導入や運用に費用がかかる
費用は安心や簡単さとトレードオフの関係にあります。Movable Typeを選ぶ企業は「安心安全にサイトを運用できること」を重視しているはずです。そのための費用なので、予算との兼ね合いでどこまで許容できるかが焦点ではないでしょうか。
Movable Typeの機能
Movable Typeの特徴的な機能をご紹介します。
コンテンツタイプを設定できる
記事やWebページのほかにセミナー情報やニュースなど、時系列で蓄積されていくコンテンツの形式を設定することができます。
例えばセミナー情報なら毎回以下のような情報が必要になります。
- セミナータイトル
- 概要
- タイムテーブル
- 開催日時
- 費用
- 申し込みURL
これらを入力フィールドとしてそれぞれ設定しておくことで、コンテンツの更新・修正が楽になります。編集画面自体をわかりやすくカスタマイズすることも可能です。
簡単に設定できるテンプレートタグ
Movable Typeではサイト構築に独自のテンプレートタグを使用します。これはHTMLによく似ておりプログラミングの知識を必要としません。
例えば、WebサイトのURLを表示するならこちらのタグ。
<$mt:WebsiteURL$>
ブログに設定した説明内容を表示するならこちらのタグを入れればOK。
<$mt:BlogDescription$>
このように特定のタグで必要な情報を表示させることができます。1行から2行で完結しプログラミング未経験者でも理解しやすいです。
もっと見たい方はテンプレートタグのリファレンスをどうぞ。
ブロックエディタで作成可能
テキストや画像などのブロックをはめ込んでいく形でコンテンツが作成できます。WordPressのブロックエディターを使ったことがある人は違和感なく使えるはずです。
またMovable Typeには独自の機能を持つブロックを作成し追加することができる「カスタムブロック」という機能もあります。カスタムブロックは標準のブロックと一緒に利用可能です。
1アカウントで複数サイトを管理できる
一つのアカウントでドメインの違う複数サイトを管理できます。WordPressは1アカウント1ドメイン。ドメインの違うサイトを追加するならもう一つWordPressのアカウントを作らねばなりません。本サイト以外にメディアや事業部別のサイト、グループ会社のサイトなどを持つ予定があるなら便利な機能です。
プラグインで必要な機能をカスタマイズ
プラグインとはCMSに機能を追加するプログラムのこと。プラグインによって必要な機能がカスタマイズできます。WordPressにもプラグインがあり種類も豊富ですが、違うのは信頼性です。Movable Typeのプラグインは、シックス・アパート社のパートナーが提供もしくは情報共有をしており安心して利用できます。
Movable Typeのプランと導入方法
Movable Typeには4つのプランがあります。ライセンス料は以下のとおりです。
Movable Type software |
Movable Type cloud |
ENTERPRISE SOLUTION |
Movable Type AMI Edition on AWS Market place |
---|---|---|---|
Movable Typeのソフトウェア版 | Movable Typeのクラウド版 | エンタープライズ向けのプラン | Movable Typeがインストールされた、OS込みのAmazon Machine Image。 |
99,000円(税込) | 5,500〜380,160円(税込・月額) | 825,000円(税込) | 0.07ドル/1時間〜 499ドル/1年〜 |
Movable Type software
ライセンス買い切り型のソフトウェア・パッケージです。購入後、自社が管理するサーバーにインストールして使用します。
ライセンス料の中に1年目のテクニカルサポートが含まれています。2年目以降は1年ごとに年間メンテナンスを購入することで、最新版の提供とテクニカルサポートの継続が可能です。
Movable Type cloud
Movable Typeのクラウド版です。プラン申込後、アカウント情報がメールで届きます。あとは管理画面からログインして利用開始です。
クラウドにインストールされた最新版のMovable Typeをそのまま利用するので、サーバー管理やソフトのインストールがありません。テクニカルサポートの料金は毎月の利用料金の中に含まれています。
ENTERPRISE SOLUTION
エンタープライズ向けに作られたMovable Typeの機能強化版です。「Movable Type Premium」「Movable Type Advanced」「Movalbe Type Premium (Advanced Edition)」があります。自社のサーバーにインストールして利用します。
Movable Type AMI Edition on AWS Market place
Movable Type 7がインストールされた、OS込みのAmazon Machine Image(AMI)です。OS、アプリケーション、ウェブサーバー、PSGIサーバー、PHP、データベースがすべてMovable Typeにチューニングされており、数クリックで簡単にAmazon EC2サーバー上に環境を構築できます。
AWSにログイン後、各種設定を行った上でMovable Typeをインストールしたら使用開始です。
まとめ
以上、Movable Typeの特徴についてお伝えしました。Movable Typeはセキュリティやサポートの面でとくに安心感があるCMSです。国内の企業や組織のCMSプラットフォームとして、すでに5万サイト以上の導入実績があることからも信頼度の高さがわかります。CMSといえばWordPressを思い浮かべがちですが、自社の目的や運用方針を踏まえて検討する価値のあるCMSであると思います。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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テキスト:加藤久佳 デザイン:村上