Webサイト制作でコンペを実施する際の注意点を解説——納得感のある成果を出す秘訣とは?
本記事で紹介するのは、Webサイトのコンペを実施する際の注意点です。自社の課題に対して複数の制作会社から最適な提案を選ぶのがコンペで、大きな規模のWeb制作の際に行われます。
本記事では、Web制作プロジェクトで成果を出すため、コンペ実施の注意点、重要な準備、実施手順をまとめ、自社に合った制作会社を見つけるポイントを解説します。
Webサイトのコンペを実施するメリットとは
コンペを実施する前に押さえていただきたいメリットとデメリットをそれぞれ3つ紹介します。
1. 目的・課題を軸にプロジェクトを円滑に進められる
まずあげたいコンペ実施のメリットが、社内で目的・課題を整理できる点です。これに関連するメリットは、ほかにもさまざまに挙げられます。
- プロジェクトの方向性を社内関係者でまとめられる
- 自社やプロジェクトを客観的に見直す機会になる
- プロジェクト資料を他社向けに作成し、依頼内容の伝達漏れを防げる
- 複数の制作会社の条件を揃えることで、提案内容を比較しやすくなる
2. よりよい提案を受けられる可能性が高まる
Web制作のプロジェクトを整理し、複数の制作会社に課題と条件を伝えることのメリットは、よりよい提案を受けられる可能性が高まる点です。
たとえば、発注する企業が「なにを、いつまでに、どうしたいのか」をわかりやすく提示してくれれば、制作会社としても提案内容をよりブラッシュアップできます。
制作会社としても競争に勝てるかどうかの緊張感を持って仕事に取り組む機会になりますし、提案とその検討を経てひとつの企業を選ぶため、依頼企業としても社内を納得させやすくなるでしょう。
3. 予算とスケジュールの妥当性を確認できる
プロジェクト進行前に、Web制作のプロから依頼内容、予算、スケジュールの妥当性を確認できるのもコンペ実施のメリットです。
- 要件は予算に適切なのか
- 複数の制作会社の費用相場の実態はどうか
- 希望するスケジュールは実行可能なのか
コンペで各社の強みや総合力を押さえて、自社プロジェクトの適切な予算とスケジュールの妥当性を確認することができます。
Webサイトのコンペで発生しがちなデメリットとは
うまい話には裏があるのが世の常・・・というわけでも必ずしもありませんが、メリットの裏側にあるのが次の3つのデメリットです。
1. 提案依頼書(RFP)をつくり込む必要がある
コンペの実施にはRFP(Request for Proposal;提案依頼書)を作成するのが一般的です。RFPとは発注者の要望を候補の制作会社にまとめた提案書です。
自社の課題、要望、選定条件をしっかり盛り込むRFPを作成することで、複数の制作会社の提案を同じ条件で比較するのに役立ちます。
ただ、RFPの精度がコンペの成果を左右すると言ってよく、その中身をまとめきるのはとても大変です。実は、コンペは発注者側も準備に多くのコストがかかってしまいます。
RFP作成の全工程と書き方のポイントをわかりやすく解説!─Web制作で成果を出す秘訣とは?
2. コンペ参加会社が多いと提案の質が下がってしまう
コンペの実施には、受注する制作会社の負担もかかるため、参加企業数が多いと提案の質が下がってしまう可能性が高まります。制作会社の実情としては、獲得できるかわからないコンペ準備に時間を割きにくいためです。
ここには、コンペの参加報酬と制作スケジュールの確保が割に合うかなど、さまざまな事情が関わってきます。
3. スケジュールに余裕がなければいけない
コンペを実施して実際にWebサイトが公開できるまで、おおよそ半年は見込む必要があります。
制作会社に直接依頼する指名発注を行えば、スケジュールにもう少し余裕を持ったり、制作期間を短縮できる場合もあります。
こうした商談も指名発注だと制作会社と密に詰めやすくなりますが、コンペの場合は複数の制作会社を比較検討する都合上、どうしても制作期間が延びてしまう場合があります。
Webサイト制作のコンペを成功させる3つのポイント
以上のようにコンペにはさまざまなメリットもデメリットもあります。これらを把握していただいた上で、コンペを成功させるポイントを3点にまとめてお伝えします。
1. プロジェクトの目的を軸に据える
まず大切なのが、プロジェクトの目的と選定基準をはっきりさせることです。
Web制作を進める上で、社内の要望や制作会社に求める条件が数多くあがるかと思います。そこで重要なのは、プロジェクトの目的を軸に、社内の要望や制作会社の選定基準を決めることです。
2. 選定基準をはっきりさせる
RFPで制作会社に同一の内容を提示しても、制作会社の特徴に応じてさまざまな提案があがってくるはずです。企画、見た目、予算などそれぞれによい点・気になる点が見つかるかと思います。
なにがよいのか判断がつきにくい場合でも、あくまで判断の軸はプロジェクトの目的に即しているかどうかです。目的に準じて前もっての選定基準を定め、提案を受け取った後も目的に立ち戻り、最適な制作会社を選べるようにしましょう。
3. コンペの参加企業数は3社ほどに絞る
最後のコツは、コンペに参加する企業数は3社ほどに抑えることです。制作会社からよりよい提案を受けるためには、事業やサービス・商品を深く理解してもらい、プロジェクトの目的と課題を明確に把握してもらう必要があります。
コンペに参加する制作会社が増えてしまうと、一社あたりの商談時間は減り、理解を深めるコミュニケーションの密度が下がってしまいます。制作会社のモチベーションを引き出すためにも、コンペの参加企業数を増やしすぎないようにしましょう。
おわりに——納得感のある制作を大事にしましょう
コンペの開催は、クライアントのみなさんも、私たち制作会社にとっても多くの時間と労力がかかってしまうものです。
せっかく制作するWebサイトだからこそ、少しでも納得感のある制作と運用につなげたいという思いは、私たちだけではなく、きっとクライアントのみなさんも共有できる点ではないでしょうか。
弊社では、お互いに納得感のある制作が実現できるようにRFPの作成から一緒に関わらせていただくこともあります。Web制作に関することなら、なんでもお気軽に私たちクーシーにお問い合わせください。
この記事を書いた人
クーシーブログ編集部
1999年に設立したweb制作会社。「ラクスル」「SUUMO」「スタディサプリ」など様々なサービスの立ち上げを支援。10,000ページ以上の大規模サイトの制作・運用や、年間約600件以上のプロジェクトに従事。クーシーブログ編集部では、数々のプロジェクトを成功に導いたメンバーが、Web制作・Webサービスに関するノウハウやハウツーを発信中。
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テキスト:青山 俊之 デザイン:大坂間 琴美